立憲の泉代表が共産党に選挙協力は求めないとつれない発言を行い、共産はそれなら独自候補を擁立すると威嚇し、それにびっくりした立憲の議員が一本化を求めて声明を出す。共産は泉さんの京都3区に対立候補。予想通りの事態が進行している。

 

 一本化を求める立憲の動きを共産の側は歓迎しているのかもしれないが、彼らの本音は、要するに票だけはほしいというところにある。政権協力の相手だとは思っていない。21年総選挙の「限定的な閣外からの協力」という合意だって、枝野代表(当時)自身、政権協力の合意ではないと釈明していたのだから、共産党を政権協力の相手だとみなす議員は立憲のなかには存在していない。

 

 しかし、立憲はそれでも票はほしい。泉さんにとるべき道はあるのか。

 

 道はある。問題は、どんな一致点で協力し、その協力がどんな性格をもつのかを明確にすることである。

 

 まず政権共闘は無理である。安保・自衛隊の基本政策が異なる間はあり得ない。この間、共産党が私の除名に関して叫んできたように、共産にとって安保を堅持するという立憲主導の野党政権での政策とは、「対米従属」であり「沖縄の辺野古の基地を押し付ける」ことであり、「海外に『殴り込み』をかける」ことである(志位氏の記者会見2.10「赤旗」)。そんな政権に共産が閣内であれ閣外であれ入ることはあり得ない。共産がせっかく大会決定で「安保も自衛隊も維持する第一段階」という考え方を打ちだし、安保廃棄は第二段階で自衛隊廃止は第三段階としたのに、私の除名をきっかけに、結局現在は、第一段階の基本政策も安保廃棄と自衛隊廃止という先祖返りをしてしまったので、よけいに政権協力はあり得ない。泉さんは、率直にそのことを指摘すればいいだろう。

 

 同時に泉さんは、こう提唱すればいいのではないか。この問題では、野党共闘の原点に立ち返れば、一つだけ打開策があるのではなかろうか。

 

 もともと共産が野党の国民連合政府構想を呼びかけたのは、2015年の新安保法制反対闘争をふまえ、この法制の廃止を求める政府をつくろうというものであった。そうならば、泉さんは共産に対して、この法律の廃止(正確にいえばこの法律の違憲部分)は次の総選挙で明確に掲げるから、立憲の候補者が出るところでは共産の候補者は出さないでほしいと、そう申し入れればいいのではなかろうか。

 

 これならば、共産の側は、もともとその目的のために国民連合政府を打ち出したのだから、大義は失わないで済む。立憲の側は、共産との一致点は新安保法制の廃止に限られるのだから、その合意は政権合意とはまったく違うものだと言い張れる(そもそも立憲にとって新安保法制の比重は小さくなっているので乗りやすい)。両方が得をすると思うのだが、どうだろうか。

 

 率直に言って、現在の到達点では、野党が選挙で協力できるとすると、この程度が限度だろう。安保・自衛隊政策の違いはあまりに大きいのだから。

 

 まあ、それとは別に、泉さんは共産に選挙協力を求めないというなら、その前に、前回の選挙で協力してくれた京都3区の共産党には、ちゃんと頭を下げて話を通すべきだったよね。それもできないところが、いろんな軋轢を生んでいる。