98年インタビューが示した3つの野党共闘。昨日書いたドライな国会共闘の対極にあるのが「政権共闘」である。国会共闘の場合、政策や路線に大きな違いがあっても目の前の政権を打倒するために手を組むわけだが、政権共闘の場合はそうはいかない。基本政策ではそれなりの一致が必要だろうし、違いもあっていいがそれを脇においてでも共闘しようとするには、かなりの信頼関係が必要である。

 

 とはいえ、かつての社会党と共産党との間では安保廃棄をはじめ多くの政策的な一致点があったのとは異なり、90年代以降の共産党と他の野党とは政策上の違いはあまりにも大きい。その最大のものは安保・自衛隊問題であるが、他にも例えば、政権を運営することになれば財源問題で一致することは不可欠であり、消費税をどうするかが問われます。この問題で共産党は最終的に消費税の廃止をめざしているが、立憲民主党は消費税を廃止することなど考えてもおらず、逆にそれを安定財源とする立場である。だから、政権合意があっても不安定なものにとどまるし、その違いを放置したままで政権共闘すると言っても、「野合」とみなされて国民から支持されない。

 

 そこで98年インタビューが提示したのが、「政策共闘」という三つ目の類型である。このインタビューでは次のように述べられている。

 

「いまどの野党をとってみても、それぞれの党が持っている政策体系はずいぶんちがった内容をもっています。しかし、政策体系がちがう政党のあいだでも、国民の利益にかなう一致点というものはありうるわけです。たとえば、日本共産党と自由党は、それぞれがもっている将来の税制像はたいへんちがっていますが、参院選では、両党とも、景気打開のための当面の緊急政策として、消費税の3%への減税を一致して公約にかかげました。だから、それぞれの公約を実現する活動として、消費税の3%への減税を要求する政策共闘をおこないうる条件は、理論的にも、実際的にも、現にあるわけです。」

 

 問題は、これはまだ政策共闘と位置づけられたことである。消費税廃止めざす党とそれを安定財源とみなす党と、たとえ景気対策のために消費税引き下げで一致しても、それで政権共闘につながるのか。そこが問題なのである。日米安保と自衛隊問題でも、その廃止をめざす党と、その堅持を掲げる党が、地位協定改定などあれこれの当面の問題で政策共闘ができても、政権共闘ができるのかという問題である。(続)