新しいシリーズである。その前に、本日の読売テレビの「かんさい情報ネットten」だが、放映されるタイトルは「101年目の共産党〝牙城〟京都で異変が」だって。おそらく第1部かな。予告動画がアップされています。これだけ見ると、私のことだと伝わりませんが。

 

 本日はまず予備的な知識である。共産党の旧綱領では、めざすべき政権を次のように規定していた。

 

「当面する党の中心任務は、……アメリカ帝国主義と日本独占資本の支配に反対する人民の強力で広大な統一戦線、すなわち民族民主統一戦線をつくり、その基礎のうえに独立・民主・平和・中立の日本をきずく人民の政府、人民の民主主義権力を確立することである。」

 

 これを「民族民主統一戦線政府」と呼んでいた。そして同時に、「この政府をつくる過程で、党は、……かれらの支配を打破していくのに役立つ政府の問題に十分な注意と必要な努力をはらう」とした。また、「一定の条件があるならば、民主勢力がさしあたって一致できる目標の範囲でも、統一戦線政府をつくるためにたたかい、民族民主統一戦線政府の樹立を促進する」ともしていた。

 

 「民族民主統一戦線政府」が基本的目標だが、それ以外に2つの政府形態を想定していたということである。「かれらの支配を打破していくのに役立つ政府」と、「さしあたって一致できる目標の範囲」での「統一戦線政府」である。前者を「よりましな政府」とか「暫定政府」と呼んでいた。後者が当時は「民主連合政府」と位置づけられていた。

 

 04年の新綱領で入党した人は、こういう分類にはびっくりするに違いない。「民主連合政府」は「さしあたって」の目標であり、実際にめざすのは「民族民主統一戦線政府」だったのだから。

 

 新綱領には、もはや「民族民主統一戦線政府」という言葉は出てこない。2つの政府形態だけである。「民主連合政府」と「さしあたって一致できる目標の範囲で」の「統一戦線の政府」である。

 

 つまり、同じ「民主連合政府」という言葉を使っていても、旧綱領と新綱領では意味が異なるということだ。旧綱領では民主連合政府は「さしあたっての目標」だったのが、新綱領では基本的な目標とされている。新綱領では、「さしあたっての目標」となるのは、旧綱領の立場では「よりましな政府」とか「暫定政府」とか呼ばれていたものということになる。

 

 なぜこんなややこしいことになるのかと言えば、旧綱領の独特の世界観が反映していた。旧綱領でも「民主連合政府」は日米安保条約を廃棄する政府と位置づけられていたが、安保条約を廃棄したところで、日本の独立は達成できないとみなしていたのである。だから、安保条約の廃棄とともに、日本の独立のための苛烈な闘争が求められ、独立の課題を達成することで「民族民主統一戦線政府」ができるという展望だったのだ。予備的な説明とはいえ、もう少し説明が必要だね。(続)