News Socraというネットメディアがあって、内田樹さんのインタビューを、何か月かごとに掲載している。昨日(12日)公表されたものでは、「ポストプーチンは米中の代理戦争になるかも」というタイトルでお話しされている。その最後に、来週刊行される私の『シン・日本共産党宣』の推薦をしていることを聞かれて、それに答えておられるので、そこだけを紹介しておきたい(時制や評価が少し事実と異なっているけれど、私がこの問題の経緯の詳細を内田さんに整理してお話ししたわけではないのでご容赦を)。まだ世論的に話題になっている問題ではないので、そんなことを聞かれて内田さんもびっくりしたそうだが、インタビュアーが言うには、「赤旗」記者のなかで話題になっているので、是非聞いてみたかったとのこと。無料会員になれば記事2本まで読めるそうである。

 

▽『シン・日本共産党宣』(松竹伸幸著 文春新書)について

 

 --今月、つまり1月に『シン・日本共産党宣言』という現役の日本共産党員の方が書いた党改革提案の本が出ます。先生が推薦人になっておられますが、どういう内容ですか?

 

 内田 共産党も党代表の選挙をやったらどうかという提案です。それだけですよ。

 

 --それ以外にもないんですか?

 

 内田 著者の松竹さんは共産党員ですが、以前党中央にいて、党の外交国防についての政策の策定にかかわっていた人なんです。その頃、自衛隊という既存の組織をどうやって共産党独自の国防戦略とすり合わせることができるかという非常に困難で、現実的な問題に取り組んでいたんです。

 

 そのために、防衛庁の官僚や、自衛隊のジェネラルたちとの対話を重ねてきた。それが党中央の逆鱗に触れて、松竹さんは党の政策グループからは追い出されてしまったんですけれど。そういうことを含めて、共産党内ではどういう政策議論があって、どういう経緯で、どういう結論になったのかというプロセスを可視化していったらどうかということです。

 

 --それは民主集中制と矛盾しませんか?

 

 内田 民主集中制が必要だと思った当時の党員たちって、戦前に特高や憲兵隊に拘禁されたり、拷問されたりしてきた人たちですからね。組織防衛ということに対してナーバスになったのは当然だったと思います。でも、今はそういう時代じゃないでしょう。

 

 公安調査庁はまだ共産党を監視下に置いているみたいですけれども、もう特高もないし、憲兵隊もないし、隣組もない。意思決定プロセスを密室化しないと組織が守れないということはないと思います。

 

 むしろ党内議論を可視化した方がいい。政党は一枚岩である必要なんかないんです。葛藤を抱えた方が人間は成熟する。それと同じです。党内対立を抱えていて、その葛藤に苦しむ組織の方が政治的には成熟する。僕はそう思っています。

 

 だから、この本によって「共産党はどうあるべきか」という議論が、党の内外に広がることを僕は期待しています。その方が党勢の伸長のためにはたぶん有効なんですから。