年を越してしまったので、とりあえず終了しておく。今年中、ずっと問題になることなので、継続して取り上げることになるだろう。

 

 この問題でいちばん大事なことは、政府がやっているように世論に乗じて防衛費をただただ拡大する路線でもなく、反対勢力が主張するようにただただ外交でやっていくという路線でもない。防衛と外交の組み合わせの最適解をどう見いだすかである。

 

 ウクライナ問題を見ても、その両方が大事なことは理解できる。護憲派は、NATOの東方拡大やウクライナのそれへの同調など、外交の失敗がロシアの侵略を誘発したことを重視する。そして、外交で間違わなければ大丈夫なんだ、みたいな感じの主張をしがちだ。

 

 しかし、今回のことが起きてさんざん報道されたように、ロシアは当初、2014年のクリミア併合のときのように、簡単にウクライナが屈服すると思っていたとされる。つまり、クリミアを併合しても、事実上、ウクライナがそれを奪還する戦いをしなかったし、NATOも今回のような踏み込んだ措置をせずに見離した。そういう現実があったから、ロシアは今回も成功すると思い込んだわけである。

 

 だから、侵略があれば断固として反撃するという意志を持ち、そのための軍備を整備し、訓練も欠かさないことが、侵略を防ぐうえで不可欠なわけである。護憲派の多数は、そこを抜かしたまま「外交で」とする場合が多く、ウクライナ戦争を目の前で見ている人には響いてこない。

 

 いま問題になっている敵基地攻撃論の弱点は、敵基地攻撃を基本政策に格上げすることによって、外交とのバランスが大きく崩れることにある。これまでは、中国などが日本の基地を攻撃する能力を持っていたとしても、日本自身がそれを持たないことによって、「お前は持っているがオレは持たないよ。専守防衛に徹するから攻めてくるなよ」という姿勢で外交に臨むことができたわけだ。しかし、日本もまた中国並みの政策を採用することで、外交で有利に立つということが難しくなるわけである。

 

 日本を守るための軍備は不可欠である。しかし、どんなに軍備を拡大したところで、相手のミサイルを完全に防ぐことはできない。それなら軍備もどこかで線を引いて、外交の力で相手の攻撃する意志を砕かなければならない。

 

 その外交と防衛の組み合わせの最適解を打ち出すことができれば、その勢力が、今年のこの問題での世論をリードしていけるのだと考える。私は、共産党の党首選挙に立候補するにあたって、『シン・日本共産党宣言』でそれを提示しているつもりである。