「敵基地攻撃」に反対する人々も、敵が日本の領域に入ってくれば、それを撃破するのには賛成の人々だ、ということにしよう。「敵基地攻撃」に反対するのは、撃破する相手がまだ他国の領域にあるのに、そこまで出張っていって武力を行使することにだけは(間違えれば先制攻撃にもなるし)、どうも賛成できないというだけのことなのだと。

 

 その場合も、ミサイルという攻撃手段の特殊性をよくわきまえた論理にしておかないと、足を掬われることになる。そこへの格別な注意が必要だ。

 

 当たり前すぎることだが、他の攻撃手段は、日本の領域周辺で撃破することが可能である。艦船にせよ軍用機にせよ、日本領域に近づいてきた時点で迎え撃ち、撃破すればいいのである。撃破する能力を持っていれば、それは可能になる。「敵基地攻撃」反対派も、それは賛成だというなら、大声で叫ぶことが大事である。

 

 本日の「赤旗」の党生活欄で、「自民党政府には外交がない」と強調して「赤旗」の読者を増やした記事が載っていた。自民党に外交がないのは一面の真理だが、逆に、それでも自民党が政権を維持し続けているのは、「野党には防衛がない」という声のほうが国民のなかで多数を占めるからである。「敵基地攻撃」をめぐる議論でも、その同じ構図になってしまっては、岸田政見の打倒など夢のまた夢である。

 

 しかも、いろいろな攻撃手段のなかで、ミサイルだけは、日本の領域で撃ち落とすことが難しい兵器である。ロシアのウクライナへのミサイル攻撃を見ているだけで、それは理解できるはずだ。「敵基地」にあるミサイルを破壊しないと、ウクライナはただただ被害を被り続けることになる。

 

 だから、「敵基地攻撃」に反対する場合も、飛んで来るミサイルにどう対処するのか、それに対する考え方を確立しておかないといけない。いろんな答え方があるだろう。

 

 一つ。ウクライナがやっているように、「敵基地」を攻撃するけれども、自分で堂々とやったと言えばロシアのより大規模な反撃が予想されるので、黙っておく。

 

 二つ。ウクライナのように無人機ではなく、地上特殊部隊を潜入させ、発射台等に爆薬をしかけて破壊する。潜入は困難だが、成功すれば、確実に敵の能力を削ぐことができる。

 

 

 三つ。「敵基地」を破壊する能力を保有するが、日常的には沖縄や南西諸島などに配備するのではなく、「敵基地」にはほど遠い本土に置いておき、「敵基地攻撃」のためのものではないことを宣言しておく。戦場にされる沖縄の不安を和らげることにもつながる。

 

 実際にどうするかは別にして、「敵基地攻撃」反対派も、日本の国土と国民を守るため、「防衛」のことを必死で考えている。そう分かってもらうことが、この問題で不安をもつ世論と対話する上で不可欠なのだと感じる。(続)