実に不思議なことが起きている。かもがわ出版がアマゾンと取引を開始して以来、はじめて体験することだ。アマゾンから合理的な説明がないので、理由も分からないし、したがって対策も取りようがない状態である。詳しく説明しよう。

 

 対象の書籍は、『日本共産党100年 理論と体験からの分析』。

 

 買えないというか、定価より1000円以上は高い出品者の本しか買えず(キンドル版は買える)、通常の本は現状では注文さえできない(当初は注文ボタンくらいはあったのに、いまでは消えている)。それなのに、つまり売ってくれないのに、売れ筋ランキングだけは表示される。いちおうアマゾンのリンクはここである。

 

 通常、この種の書籍は、タイトル、価格、ページ数などが確定し、販売のメドがついた時点で、アマゾンに書誌登録を行う。この本は、11月14日に登録し、すぐにアマゾンのホームページにアップされた。その時点で予約注文のボタンはあって、多くの人が予約をしてくれた。著者から、「発売前重版が期待できるかも」という声があがったほどだ。

 

 そうやって予約が多かろうが少なかろうが、発売日(この本の場合は11月28日)が近づくと、アマゾンから弊社に注文がある。倉庫に積んでおいて、注文があったら出荷できる体制をとるわけである。これまでどんな本もその手順でやってきた。

 

 ところが、この本だけ、いつまで経ってもアマゾンからの注文がないのである。だから、不思議に思った弊社の担当者は、当然のこととしてアマゾンにメールで問い合わせをした。何か不具合が起きているのか、それにしても注文がゼロということがあり得るのか、予約さえできなくなっている(カートダウンというらしい)のはどういうことかと。

 

 そうしたら、12月5日にようやく返事が来た。それはこういうものだった。

 

「このたびはご利用者様にご不便をおかけし、誠に申し訳ございません。お問い合わせいただきましたカートダウンの件につきまして、担当部署に確認いたします。本件、進捗がございましたらあらためてご連絡致しますので、いましばらくお待ちいただけると幸いでございます。」

 

 それで「いましばらくお待ち」していたのだ。ところが、何日待っても「進捗」の返事がない。そこで、12日、13日と催促のメールをしたが、これには返事すらない。そこで16日、読者が予約しているのに本が届かない事態が起きていることも伝え、返事を促した。そうしたら、こんなメールが来た。

 

「このたびはカート表示に関してご不便をおかけし申し訳ございません。お問い合わせいただいておりますカート表示のについて、現在担当部署と連携を図り調査を行っております。本件、進捗がございましたらあらためてご連絡致しますので、今しばらくお待ちいただきますようお願いいたします。」

 

 子どものお使いと言ったら子どもに叱られるが、まったく役に立たない返事である。これが世界を支配するGAFAの一つなんて、恥ずかしいと自分で思わないのだろうか。

 

 もしかして、この本が売れることを危惧する勢力の仕業か。だが、そんな勢力がいたとしても、天下のアマゾンに影響力を行使できるとも思えない。いや、いまアマゾンは不正出品で守勢に立たされているから、何千人かが組織的に不正出品だというメールでも送れば、アマゾンもたじろぐかもしれない。なんてことさえ考えてしまうのである。陰謀論って、こういう現実から生まれていくのだろうな。しかし、一方で好意的なレビューは載せているのだから、陰謀論も成り立たない。

 

 ということで、直接の原因、理由はいまだに不明ではある。しかし、かもがわ出版のような弱小出版社に迷惑をかけたところで、アマゾン王国は不滅です、みたいな思い上がりが生んだ事態であることは確実だろうと思う。実際、そんなアマゾンとは取引を打ち切るとこちらが強気にでたら、売上げのかなりをアマゾンに依存している弊社の生き残りにも影響してくるわけだから、悔しいがそういうこともできない。

 

 読者のみなさんには、アマゾンはそういう会社だと理解してもらうしかないし、他のネット書店でも買えるので、不便はないことを知ってほしい。弊社のホームページからも、送料無料で購入できるので、条件はアマゾンその他のネット書店と同じである。

 

 この件、「進捗」があったら、報告させていただきます。