中国共産党大会が開かれ、耳目の注目が集まっている。習近平の3期目が焦点だが、米軍関係者が2027年を台湾武力解放の年と予想しているのも、その年、習近平が4期目をも実現するため、武力解放で国内世論の支持を高めるのではと考えているからだ。ということで、台湾有事をどう捉え、どう対応するかは引き続き大事な問題となってくる。

 

 共産党大会で習近平が台湾問題で発言した中身は、これまでと同じだった。それを共産党大会で報告し、党の方針としてさらに格上げしたことが新しいことになるだろう。日本の新聞もテレビも、大きく取り上げている。

 

 日本共産党の「赤旗」も本日付で特派員による記事を掲載していて、武力解放方針を放棄しないということを批判的に取り上げてはいる。しかし、外信面のふつうの記事扱いで、一般のメディアのような大きな位置づけはしていない。しかし、「共産党が台湾に武力行使」という言葉がメディアで氾濫しているなかで、日本の共産党がその程度の扱いでは、日々、共産党のイメージ低下が進行するのは避けられない。

 

 実際に武力行使が行われるかどうかは分からない。アメリカにしても中国にしても戦争を避けたい気持があるのは間違いない。また、中国にとっての台湾問題が、国家間の関係を律する国際法のなかでは独自の位置づけを持つのも当然だ。

 

 けれども、日本の共産党が重視しなければならないのは、中国の共産党が台湾の人々に銃口を向ける方針を持っていて、それを公然に口にしているだけで、自分にとって重大な打撃になることである。だから、台湾有事を避けるためとして、アメリカが軍事態勢を強化していることや自衛隊がそれに影響されていることを批判し、日本の平和運動をそれに反対する方向へとリードするのは当然だろうが、それがもっとも大事ということになると、中国を免罪することになって、日本共産党には深刻なダメージを与えることになる。

 

 そもそも台湾有事とは中国の台湾侵攻で開始される事態であって、それがなければ戦争にはならないのだから、日本の平和運動がどういう方針を持とうが、日本共産党にとって最優先課題は、中国共産党に対して武力解放方針を撤回せよと強く求めることではないのか。それができないままでは、台湾有事の議論が高まるごとに、日本共産党は打撃を被ることになるだろう。