日本維新の会の党首公選がやられています。注目すべきは、特別党員(国会議員、地方議員、首長)も一般党員も同じ一票だというやり方がどう影響するのかです。

 

 維新の会は、規約の冒頭近くで、「党員は、代表を選出する際の投票権を有する」と明記しています。だから、地方議員などのなかでは、党員になれば党首選挙に参加できると宣伝し、党員を勧誘している人もいます。しかしこれまで、実際には選挙はされず、創業者一族が党首を続けてきたわけですね。

 

 そこを転換したのは、日本の政治のなかで、党員が党首を選ぶ一票を投じるという制度が、普通の政党として認知される上で不可欠だという事情があるでしょう。橋下さんに続き松井さんがやっていて、大阪の人ばかりで、他の地方の人は立候補する資格もないということになれば、どう考えても全国政党への脱皮はできません。

 

 すでに紹介したように、党首公選は自民党が1978年に開始しました。自民党内で三木おろしの嵐が吹き荒れ、退陣を余儀なくされるわけですが、自民党内の派閥争いに対する国民の批判の眼差しもあり、三木さんは派閥に属さない一般党員を参加させる案を飲ませようとすることで、派閥を牽制したわけですね。派閥の領袖もその提案をのまざるを得なかった。

 

 最初は、その目的に反して、党員までも派閥争いに利用されるという事態が生まれました。しかし、小泉純一郎さんを選んだ選挙で、派閥争いには負けた小泉さんが、一般党員の得票で総裁になるに及んで、党首公選に独自の役割があることが分かったんですね。

 

 どういう役割かというと、一般党員が参加することは、国民の声に近い党員が参加することであって、その党員の支持を得られることが国政選挙で勝利するためにも大事だということです。だから自民党も党首公選は止められない。

 

 けれども、自民党も立憲民主党も、国会議員票のほうが大事にされるわけです。維新の会は、そこを平等にしたのだから、たいしたものです。

 

 一般党員票を低く位置づけていても、小泉さん登場のようなことが起きる。では、平等なら、どんなことになるのかですね。注目は。

 

 いずれにせよ、これで、党員が党首選びに参加できないのは、本当に共産党と公明党だけになっちゃいました。この二つには何か共通するような性格があるんですかね。(続)