7月10日に「安倍さんとの最終決戦は始まっていた」という記事を書いたが、前日の「安倍さんとは最終決戦で闘いたかった」という記事とほぼタイトルが同じで、冒頭の画像も同じだったので、気づかなかった人もいたようだ。だから、本日は、その再掲である。明日と明後日は、宮本顕治氏の話をしたい。

 

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 昨日、「安倍さんとは最終決戦で闘いたかった」というタイトルで記事を書いた。その際、「月刊HANADA」の特別号(6月23日刊行)の表紙画像を掲載した。

 

 この特別号を見ると、安倍さんと改憲派の意気込みがひしひしと伝わってくる。内容も形式もである。

 

 まず形式で言うと、画像から見えるように、安倍さんの名前がトップに来ているし、タイトルは「憲法改正完全版」だ。櫻井よしこさんも起用されているが、小さくて見えないだろうけれど、国民民主の玉木さんとか維新の馬場さんとか、改憲問題の行方を左右するキーパーソンが筆者となっている。

 

 さらに、表紙のあとにグラフのページが数枚あって、おなじみの憲法関連の写真が掲載されているのだが、びっくししたのは、そのあとだ。いわゆる「扉」にあたるところで全ページを使って、安倍さんの揮毫で「憲法改正」とある。

 

 安倍さんが一つの雑誌に過ぎないものの「扉」にまで入れ込むなんて! きっと参議院選挙後、改憲をねらう人々はひとかたまりになって、目的実現へ全力を挙げる決意があって、この雑誌は、その目的のために特別につくられたものではないのか。

 

 そして内容。当然、この雑誌の巻頭論文は安倍さんが執筆している。「自衛隊違憲に終止符」というタイトルだ。

 

 この論文の内容は、今後の改憲論議の基調となっていくと思われる。その基調の一つが共産党の憲法論、自衛隊論への批判であって、それをたたきつぶせば改憲は実現するという、安倍さんの思惑がにじみ出る内容である。本日はそれを取り上げることはしないが、党員ならば必見だ(関心のある党員はすでに読んでいると思うけれど)。

 

 ところで、この雑誌には、私も登場している。何かを書いているわけではないが、「日本国憲法をよりよく知るための27冊」と題して書影と短評が載っていて、その一つが私が書いた『改憲的護憲論』(集英社新書)なのだ。

 

 護憲派が書いた本としては、直下にある古関彰一先生の『日本国憲法の誕生』と2つだけだろう。古関先生の本は、アメリカの侵略に対して武力で抵抗したベトナム人民を憲法9条がある日本国民が支援したことに疑問を呈したもので、私とはかなり立場が異なる。だがこうして取り上げるのは2つだけだけれど、バラエティ豊かになるよう選んだんだろうね。

 

 私の本はこう紹介されている。

 

 「元共産党職員でありながら、共産党の見解である「自衛隊解体論」や「当面自衛隊は活用」の欺瞞を突き、「イチかゼロか」の改憲論議を乗り越える新境地を開こうとする意欲作」

 

 護憲論を多数にしようと思うと、改憲が大事だと思っている人を仲間にしないといけない。そういう人を罵倒するような護憲論は誰も聞いてくれない。安倍さんの自衛隊「加憲」論を乗り越えようとすると、改憲派が「これは読もう」と思うタイトル、内容しかない。そう思って書いた本である。

 

 それが「月刊HANADA」に掲載され、安倍さんとの最終決戦が開始されようとしていたのに……。やはり安倍さんには生き抜いて、同じ土俵で闘ってほしかった。

 

 安倍さんは亡くなって闘えないけれど、私は安倍さんが批判の標的に据えようとしていた共産党の党首にでもなって(立候補の制度ができて支持があったらだけど)、思う存分闘いたいと思っている。それが安倍さんへの供養になると確信する。