報道されているように、立憲の西村幹事長と共産の小池書記局長が会談し、参議院選挙に向けて二つの点を確認したという。一つは、前回総選挙での共産党による「限定的な閣外からの協力」という合意は、今回は折り合わなかったので横に置くということ。もう一つは、一人区で勝利する可能性の高いところは候補者調整を行うことである。

 

 まあ、現時点ではこれ以外ないでしょ。というか、安保・自衛隊をめぐる基本政策が根本的に違うもとで国政選挙でここまで合意できるのだから、ベストとも言えるのではないか。

 

 今度の参議院選挙が終われば、次の国政選挙は3年後である。十分に時間はあるのだから、政権共闘という問題と安保・自衛隊政策での違いをどう整合させるのか、両党の間で、さらには共産党内で、旺盛な議論をして一致点を探るべきだと思う。

 

 ここ数か月、共産党の側は、それなりに努力してきたのだと思う。ウクライナ侵攻が直接の動機だったのだろうが、22年間にわたってほぼ封印状態だった侵略された際の自衛隊活用論を復活させた。7年ほど前、野党政権では侵略されたら日米安保条約第5条で対応すると明確にしかたら、安保と自衛隊を維持して侵略に対抗するという点で、立憲との違いをなくそうとしたわけだろう。また、すでに書いたことだが、野党政権は安保を維持した政権であるにもかかわらず、それを「民主的政権」として、綱領も想定していないような位置付けを与えた。大変革である。

 

 それを立憲の側はどう受け止めたのだろうか。小川政調会長などは、かなり政策が接近してきたという感想を述べていたし(軍隊のない世界も理想として受け止めるとも言った)、やり方によっては防衛政策を共通の土俵で議論する道筋もあったと思うんだけれどね。

 

 ただ、共産党がいま国民向けに大量配布しているリーフレットでも、「安保条約や自衛隊など、他の野党と意見の違う問題を政権には持ち込みません」と明言している。ここまで自衛隊と安保を認める方向に進んできても、共産党自身、引き続き「意見が違う」と明言しているのだから、共通の土俵に乗せる問題ではないという認識なのかもしれない。

 

 聞くところによると、共産党内はもちろん、安保破棄の合意を広げるために作った革新懇の中でも、異論が噴出しているという。それでも、野党の中で理解が広がるなら説得もできるだろうけれど、そうはならなかった。このままならば、ただ足がもつれたまま参議院選挙ということになりかねない。

 

 私としては、そこの間を埋めるようなものを執筆中。共産党を救うようなものになればと思っています。