いつものように「朝日」を読み、「赤旗」に目を通して、「産経」に取り掛かった。そうしたら、一面トップが「露 岸田首相ら入国禁止」という昨夜来のニュースだったが、禁止された人物のリストが表になっていて、そのなかには志位さんも含まれていた。

 

 あれ?「赤旗」にあったのかなと思って見直したら、2面の左下に小さく、「ロ、首相ら入国禁止 日本共産党の志位委員長など対象」という見出しが。記事も短く、志位さんのツイッターでの以下のコメントを引用して報道していた。

 

 「私が行ってきたロシア批判は国連憲章と国際法に基づく当然の批判だ。自らに都合が悪いものだからと入国禁止とは、国際的孤立を自ら深める愚かな行動だ」

 

 一方、自民党の政調会長の高市早苗氏も禁止対象になっている。そしてツイッター上で「上等やないかいっ。招かれても行かんわい!」と発言したらしい。

 

 この問題は、なかなか難しい問題を孕んでいる。侵略したロシアを批判、糾弾するということの必要性と、どこかで停戦しなければならないということの間で、どう折り合いをつけるかという問題があるからだ。

 

 国連総会で140か国が賛成してロシアの侵略を批判する決議を採択したが、私はそういうやり方に賛成である。停戦を仲介しようと思えば、ただロシアを批判するのは良くないという考え方があるが、これまで書いてきたように、戦後ずっと侵略されてきた小さな国は、侵略した大国を国連の場で批判することもできなかった。大国の侵略を国連総会で堂々と批判できるようになったのが、ようやく1980年台になってからのことなのだ。そういう国が増えるのは自然の流れであ理、交渉の邪魔になるから批判するなというような立場は取るべきではない。

 

 一方で、侵略している国は、自分を批判する国を停戦交渉の相手として認めることはない。だから、侵略批判に賛成しないで停戦交渉に乗り出す国があるのは当然というか、必要なことである。

 

 だから、圧倒的多数で侵略を批判することと、少数の国が停戦を仲介することと、その双方がうまく噛み合うのがいいのだろうと思う。一つの国の中でも、政府と個人の間に立場の違いがあっていいわけで、日本の中でも、停戦交渉を仲介したいと考えている人がロシアを訪ね、停戦を求めるような行動をしたらどうかなとは思う。

 

 安倍晋三さんなんか、禁止リストに入っていないのだけど、「僕が戦争を止めさせる」ってプーチンに会いに行くことは考えていないのかな。もしプーチンの心を動かせれば、3回目の登板も視野に入ってくると思うけどなあ。

 

 高市さん、もし停戦交渉で相談したいと言われても、「招かれても行かんわい!」と言うんだろうか。政権政党の政調会長だから、そんな機会があれば自分で乗り出すことも選択肢だと思うのだが、まあ批判はできても調停できる人ではないよね。

 

 志位さんも、これだけロシアに注目されているわけで、禁止措置が取られているからこそ、「おいプーチン、俺の主張を聞くのがこわいのか」とか言って入国を求めるなんて、どうでしょ。少なくとも「赤旗」はもっと大きな記事にした方が良かったと思うけれど。