共産党の規約のどこを見ても、党員が党首を選ぶ選挙に参加できる規定はない。すでに書いたように、党首である委員長は、全国大会で選出される中央委員会が選ぶのである。

 

 だから、常識的に考えると、党員が立候補できる党首選挙を実施するようにしようと思えば、いくつか規約の改正が必要になるだろう。党首は党員の投票で選ぶことにすると書くやり方もあるし、中央委員会が決めるという現行規約を堅持するとすれば、党員投票の結果の尊重を中央委員会に義務付けるという手段もありそうだ。さらには党員の権利と義務のところ(第5条)で、権利として位置づけるとか……。

 

 一方で、実際に実施することを想定すると、全国大会と並行して何十万人もの党員の投票をするのは、かなり難しい感じはする。しかし、いつも全国大会で選ばれる中央委員会の第一回目の会議で党首が選ばれるので、大会を開催しないと党首を選べないと思ってしまいがちなのだが、規約上はそんなことは不要である。現行規約は、中央委員会が委員長を選ぶと書いているだけなので、大会と大会の間のどの時期でも、委員長を解任して新しい委員長を選ぶこともできる。そういう仕組みでないと、委員長が病気で仕事ができなくなった場合などに対応できないわけだし。実際、1987年に不破さんが心臓病になって入院した際、大会を経ずに、村上弘さんが中央委員会で委員長に選出されたこともある。

 

 ということは、党員投票の党首選挙は、別に大会に合わせて実施する必要はないということになる。党首を選ぶ権限を有する中央委員会が、党員投票の党首選挙が必要だと判断すれば、いつでも実施できるということなのだ。もしかしたら、規約に書いていなくても実施できる可能性すらありそうだ。要するに、規約上不可欠なのは、最後は中央委員会が選出するということだけなのだから。なんと言っても民主集中制だから、上級が決めればたいていのことは可能になる。

 

 ただし、じゃあ党首選挙を実施したとして、誰でも立候補できるかというと、そこが問題かもしれない。幹部会委員長を中央委員会で選ぶということは、委員長は中央委員であることが前提になっているように見える。これまでの実際の運用もそうである。だから、委員長に立候補できるのは中央委員に限られるという可能性があり、それなら私は立候補できない。

 

 けれども、規約の明文は、すでに紹介したように、「中央委員会は、中央委員会幹部会委員と幹部会委員長……を選出する」というものだ。幹部会委員長を選ぶのは中央委員会だが、中央委員の中から選ぶと書いているわけではない。もしかすると、中央委員でないものを委員長にする必要性が生まれることを想定して、こんな規定にしたのだろうか。そうならば、私のようなものが立候補すると表明しても、規約に違反するとまでは言えないのではないか。

 

 問題は、ヒラの党員も含めて党首選挙がやられたとしても、現在の仕組みでは意味のある選挙にならないことだ。長くなったので連載は終わらず、明日、最終回にする。(続)