さて、現在の制度を前提にして党首選挙に立候補する方法だ。二つある。

 

 一つは、現在の幹部会に対して私が立候補の意思を伝え、大会に提案する次期役員名簿に加えてもらうことである。現在の仕組みでは、幹部会が次期役員名簿を作成し、それを大会に提案し、それが代議員の投票にかけられる。代議員は一人一人の名簿に⚪︎か×をつけ、○が多ければ信任されたことになる。実際問題として約200人もの名簿を見せられたところで、名前や顔も知らない人も多いし、実績などは余計に知らないのだけれど、全員が信任されるわけだ。だから名簿に入れてもらえれば、私でも中央委員になり、中央委員会の場で幹部会委員長に立候補すると表明し、選挙に持ち込むことができるだろう。ま、無理なことは分かっているけど。

 

 もう一つは、先ほど述べた道筋を通って、全国大会の代議員になることだ。支部党会議、地区党会議、県党会議で承認を得て大会まで辿り着くのである。そこでは幹部会が提出した次期役員名簿案が出されるのだが、名簿に入っていない私が役員になりたいと思えば、「自薦」で立候補できることになっている。

 

 規約で明示されているわけではないが、2000年の22回党大会で、「選挙人は自由に候補者を推薦することができる」(第13条)という規約の規定に対して「自薦(立候補)の権利を明記すべきだ」という意見があった。それに対して、不破さんが、「この自由のなかに自分を推薦する自由を含むものだというのは、すでに現行規約の解釈となっていることです。1976年に党中央の通達を出し、立候補(自薦)を含む党員の被選挙権を認めたものであり、これが規約の原則的な当然の解釈として徹底しました」「この22大会で自薦を含むのが現行の規約の解釈なのだということを明らかにすることで解決としたい」と答えている。

 

 ただし、中央委員の定数というのが大会のたびに決定される。その定数ギリギリの数が次期役員名簿として提案されるのが通例だ。だから、「自薦」で立候補者すると定数を超えることになって、誰か1人を落選させることが求められ、「自薦」候補者が弾かれるのが自然の流れであろう。なお、全国大会で中央委員が選ばれて、その中央委員が集まって誰を委員長(副委員長や書記局長を含む三役)にするかの議論がされると思う人もいるだろうが、実際には、前党大会での浜野副委員長の報告で「常任幹部会の責任で三役案を提案し」「1中総(中央委員の第一回目の会議のこと)ではこの提案を検討し、全員一致で三役を選出した」とされているように、選挙されているというよりも、常任幹部会の提案を了承しているのである。

 

 それよりも何よりも問題なのは、これらの方法では、一番大事な「党員投票」にならないことだ。そのためにはやはり規約の改正が必要なのだろうか。(続)