連載を開始したばかりだが、ちょっと中断。泉さんの発言にあきれはてたので。

 

 4日午前の会見で、「核共有について問われ」、こう言ったとされる。日刊スポーツからの引用だ。

 

 「どんでもない話。核は威嚇に使うことも、実際に使用されることも許されない兵器。共有してどうするんですか。議論だけはいいなんていうのは詭弁。そういう話をするのであれば大量殺戮兵器、生物兵器や化学兵器まではいい、というのか」などと議論自体を否定し、非核三原則の堅持を訴えた。

 

 これ自体は、私の立場からすれば当然のことだ。泉さんがほんとうにそう思っているなら、是非、この立場を貫いてほしい。

 

 しかし、これは立憲民主党の基本政策、基本理念から外れているのではないか。代表として自分の党の基本的立場さえ理解していないのではないか。そこが心配である。

 

 だって、安全保障問題での立憲の基本的立場は、昨年の総選挙政策でも掲げられていたように、「抑止力の維持」である。鳩山友紀夫さんの民主党の時代、そこから離れて普天間の県外移設に傾いたが、結局、「抑止力のことを学んだら」やはり辺野古ということに落ち着いてしまった。党名はいろいろ変わったが、現在の立憲民主党もそれを受け継いでいる。

 

 そして、その「抑止力」とは、核兵器による抑止のことである。少なくとも、それを含む(絶対に外せない)考え方のことである。

 

 今回のウクライナ危機でプーチンが核兵器の使用を口にして威嚇していると問題になっている。けれども、プーチンはじつは、「核」「核兵器」という言葉を使っていない。「抑止の特別態勢を準備する」と述べただけなのだ。それでも、安全保障の世界においては、「抑止」の中心は核兵器の使用のことだという共通の理解があるから、みんなが「核兵器で威嚇している」と騒ぎ出したのである。

 

 泉さん、もしかして立憲が掲げている「抑止」は、核兵器の使用や威嚇を含まないと思い込んでいるのではないか。そうならば、鳩山さんの失敗をいつかくり返すことになる。自民党や維新などは、そこを突いてくるに違いない。

 

 もしかして、この発言の立場に転換したいと思っているなら、あの鳩山時代の猛バッシングが再現されることを覚悟して、全力で転換しなければならない。そうならば、いつでも全力で応援するけれども。