基本政策と理念が違う共産党との政権共闘はおかしいという批判に対して、いや政権共闘は当然だとして批判を乗り越える方法は2つある。というか、2つしかない。

 

 1つ。基本政策が違うのだから、本質的に政権共闘はあり得ないが、暫定的だから許してよという対応である。

 

 共産党が一貫して政権共闘は安保反対で一致する政党でやると言い続けてきたことで分かるように、本来というか従来型の対応では、安保条約を維持する政権は打倒する対象なのである。だって、安保条約が諸悪の根源であり、安保を維持している政権では必ず戦争が起こるだけでなく、アメリカ言いなりになって経済もうまくいかないというのが共産党の基本的な立場である。いくら付き合いのある野党の政権だと言って、そんな政権をいつまでも閣外から支えられるわけがない。

 

 だから、連合に対しても、共産党が協力するのは、新安保法制の憲法違反に抵触する部分が撤回されるまでの間の限定的なものであって、それが実現すれば立憲民主党の政権は打倒の対象にすると言えばいいのである。それまでは、先日の立憲の小川さんの発言にあったように、首班指名と本予算は無条件で支持するが(これが通らないと内閣は倒れるので仕方がない)、他の法案は是々非々で臨むと言うのである(法案が通らなくてもそれだけで内閣は倒れない)。

 

 これは、共産党の綱領では、「よりまし政権」と位置づけられるものであって、党内で説明がつく。共産党の現場では、これまで安保廃棄・自衛隊解消だけが戦争しない日本をつくると信じて頑張ってきたのに、なぜ安保と自衛隊を容認する立憲との政権が可能なんだって思う人も少なくないが、これなら納得できるだろう。先日の幹部会決議では、「100年という歴史上初めて、日本共産党が参加する政権を現実の課題として追求する歴史的時期」だと書かれているが、そうやって参加する政権が戦争する政権だということになると、目も当てられないことになる。だから、立憲の政権も戦争する政権だから、協力は一時的暫定的だと説明しないと、党員は納得できないのだ。

 

 連合だって、できあがる立憲主導の政権に対して、共産党が本質的には打倒の対象だとみなしているというなら、そして政権で協力するといっても、暫定的一時的に協力しているだけだというなら、あそこまで拒否する理由にはならないだろう。

 

 いや、そこまで説明しても連合が拒否するというなら、それは立憲の政権ができるよりも自民党政権のほうがいいと告白しているようなものになる。それこそ組合員に説明できなくなるのではなかろうか。

 

 「立憲共産党」批判を回避するもう1つの方法。安保廃棄など基本政策は異なるにしても、共産党が安保廃棄をめざすのは将来のことであって、現在のところは基本政策も立憲などと同じ方向を向いていると説明できるようにすることである。これは、共産党にとって大きな政策変更を伴うものだから、指導部にはかなりの覚悟が必要とされる対応だ。綱領の帝国主義論に立ち入った解明が求められることになる。(続)