立憲民主党の小川淳也政調会長が、野党共闘に関して述べていることは、わりとよく考えられていると思える。議論の土台になるのではないか。

 

 小川さんが言うのは、「限定的な閣外からの協力」という合意が、何を意味していたのかということだ。そして、ただの選挙区調整でなかったというなら、2つの点で共産党が閣外から協力することを意味していたのではないかというのだ。

 

 1つは首班指名。これは当然だろう。最大野党の党首の首班指名に賛成しないで、政権協力とは言えない。

 

 そしてもう1つは、本予算への賛成。小川さんは、「共産党が本予算に賛成しないとなると「限定的な閣外協力」という概念とは矛盾することになる気がします」として、さらに次のように言っている。

 

 「本予算は政権への信任投票なので、これに協力しないという選択肢はおそらくないだろうと。仮に立憲を中心とした政権ができたとしても約5兆円余りの国防費、皇室費用や思いやり予算を含めた日米同盟の費用は必ず入ることになるでしょう。共産党さんがもしもその橋を渡って更なる現実化路線に一歩踏み出されるなら、さらに国民に理解される可能性が出るという気がします。もしそうでなければ選挙区調整に止めると言った方が分かりやすいと思います。」

 

 私はだいぶ前に書いたブログ記事で、共産党は閣外から政権に協力すると言っても、実際に出てくる法案などには是々非々で臨むのだろうと書いた。だって、今年3月にも思いやり予算の特別協定が提出されるが、それは自民党政権が出そうが立憲中心の政権が出そうが、共産党は間違いなく反対すると推測できるからである。

 

 自民党であれ立憲であれ、賛成できることには賛成し、反対すべきことには反対する。そういうことなら、どっちが自民と立憲のどちらが与党であれ、あまりスタンスが変わらないことになる。それでどうやって共産党も合意する野党の政権と言えるのかということだ。

 

 しかし、首班指名と本予算に賛成ということなら、かろうじて政権に協力していると言える。だから、その種の非常に限定的、一時的な合意だと明確にすべきだったと思う。

 

 小川さんの発言を見てびっくりするのは、共産党はもしかして本予算にも賛成してくれないのではと思っていたことだ。皇室予算や防衛予算、思いやり予算が含まれるから心配していたというのだ。

 

 逆に言うと、共産党はあれだけ「野党政権」だと強調していたのに、予算に賛成することすら、共闘相手である立憲に伝えていなかったのだろう。それとも逆に、「安保・自衛隊問題での独自の見解を野党共闘には持ち込まない」という共産党の態度表明は、立憲が提出すれば思いやり予算の特別協定にも賛成するという意味を含んでいたのだろうか。そういうことなら、選挙中にそう明確に言明すれば、安全保障では野党はバラバラだという攻撃をされずに済んだかもしれないけど。

 

 結局、そういうことが何も明らかにされないで選挙が行われ、国民の不安が高まったということだと感じる。昨日も共産党の小池さんは政権合意は変わらないと表明したが、その合意をどう解釈しているのか、小川さんの発言は間違っているのか、明確にすべきだろう。