岸田さんが出馬した時点で書いた記事で、自民党の派閥にはもはや「違い」というほどのものはなく、だから二階さんの首を斬る程度の違いしか出せなかったことを指摘した。その後、高市さんと河野さんの出馬表明があったけれども、すでに指摘したことを変える必要はなさそうだ。

 

 岸田さんは、安倍さんに会って「加憲」を推進することを表明した上に、森友問題でも態度を変えて、もう調査はしないと言い出した。高市さんは安倍さんの流れをそのまま受け継ぐだけである。そして河野さん、少しは別の選択肢を打ち出すのかと思ったから、もっとも期待された原発問題でも皇室問題でも、自民党の主流に身を寄せることになった。

 

 石破さんがでるのでない限り、結局、安倍さんと菅さんの9年間を基本的に受け継ぐしかないというのが、現在の自民党の流れである。この9年間に、そういう自民党になってしまった。というか、そういう自民党が国政選挙で国民の支持を得て連戦連勝を果たしたという確固とした実績があるので、総理総裁をめざそうという人間は、そこから逃れられないということだろう。

 

 石破さんがどうでるか分からないが、本人が言っているように、安倍さんに挑戦し続けたけれど、敗北し続けたということがあるから、現在の自民党で別の選択肢を提示して闘うのは、やはり難しいのだろうね。まあ、最後まで注目はするけれども。

 

 こういう現状だから、総裁選挙の結果がどうなるかは、まったく興味がなくなった。テレビその他がなぜこんな時間をとって報道しているのか、さっぱり理解できない。だって、共産党の全国大会の最終日に誰が党首として選出されるのかという程度の、まったくサプライズのない選挙ではないか。

 

 自民党にはもはや活力はなくなった。いや、一枚岩の団結という、政党らしい姿に近づいているのかもしれないね。