画像は産経新聞の9月2日付。見出しは見えると思うが、「台湾攻撃準備に進展 国防部報告 武力統一を警戒」とある。

 

 これだけでは何のことか伝わりにくい。ここで言う国防部とは、台湾の国防省にあたる部署で、そこが9月1日に立法院(国会)に対して報告を提出した。そこでは、「蔡英文総裁が再選された昨年1月の総統選以降、中国軍が台湾の武力統一を想定した軍事圧力を一段と強化していると分析し、強い警戒感を表明した」とされているそうだ。

 

 具体的に言うと、中国は、当該海域で「外国軍」に対抗する作戦を想定し、GPSでその動向を追跡し、台湾周辺に電子偵察機などを送り込んでいるそうだ。また、このブログでも書いたことがあるが、台湾の防空識別圏への進入を常態化させ(台湾がスクランブルをあきらめるほどの規模だ)、東沙諸島制圧を念頭に置いた演習を実施し、上陸作戦で使用する武器の空輸訓練なども行っているとのことである。その他その他。

 

 問題は、このような中国軍の動向を分析したり、告発したりするのが産経新聞などの右派メディアに限られていることだ。「赤旗」や平和運動メディアではお目にかかれない。

 

 私が心配するのは、このまま何年か後に中国が台湾の武力統一作戦に踏み切ったとして、中国の現在のような動向を批判もせず、とりあげもしなかった左翼メディアが、その際にあわてて批判に踏み切ったとして、信頼性を保持できるのかということである。まあ、無理だろうね。

 

 天安門事件の時は、日本の共産党はまだ中国共産党と対立関係にあったし、旺盛な批判を展開していた。それだけやっていても、天安門事件はすごく打撃を与え、ちょうど東京都議選の最中で私は八王子選挙区に派遣されていたのだが、中国をどう批判するのか、仲間たちと夜を徹して語り合ったものだ。

 

 ところがその後、中国を批判しない期間が長引いたためだろうか、いまや中国をどう批判するかに心を砕く左翼は壊滅状態だ。だから、自衛隊が島を奪還する演習をすると、「いやこれは侵略を目的とする上陸演習だ」と批判する「赤旗」などが、中国の演習に対しては見向きもしない。

 

 このままその日を迎えるときが、左翼の壊滅の最終章になるのかもしれないね。その時にいくら「一貫して批判してきました」と大声を上げても、天安門事件の時とは違って、産経新聞程度のこともしていない実績は、誰もが知っているから。私としては、そうならないよう孤立しても闘うしかないのだけれど。