アフガン問題が混迷の度を深めていて、テロにどう対応するかが問われている。もう10日前になるが、志位さんの記者会見が「赤旗」に掲載されていたので、その問題について。

 

 志位さんは、タリバンが大統領府を占拠したことについて問われ、「『テロに対して報復戦争で応えるという方針が、大破綻したというのが現状だ』と指摘しました」と答えたそうだ。それについては「その通り」というしかない。

 

 一方、それを根拠づけるため、2001年の同時多発テロの直後、不破さんと連名で各国首脳に書簡を出したことをあげている。その書簡は、「国連憲章と国際法に基づいて、国連を中心に、国際的な警察力、司法の力を総動員して容疑者を捕らえ、法の裁きにかけるべきだと提唱した」ものだそうだ。

 

 これ自体は半分は正確だが、半分は異なる。全体像を紹介しないと一面的なものになるのではないか。この書簡は、「現在おこなわれている軍事攻撃は中止 」せよと主張しつつ、具体的には3点を提案している。引用する。

 

 「私たちの提案は、つぎのとおりです。

 第一に、国連として、今回のテロ事件にたいするビンラディンの容疑を公式に確認し、その身柄の引き渡しをタリバンに要求することです。

 第二に、タリバンがそれを拒否した場合の制裁の措置も、国連が主体になって、国連憲章第七章にもとづく強制措置という形でおこなうべきです。まず、アフガニスタン国民への人道的配慮を十分におこないながら、国連憲章第四一条にもとづく経済制裁などの「非軍事的措置」をとるべきですが、これを徹底してもなお不十分と国際社会が認定した場合には、第四二条にもとづく「軍事的措置」をとることも、ありうることです。

 第三に、ビンラディンなどのテロ容疑者にたいしては、厳正な裁判による真相の全貌(ぜんぼう)の徹底糾明と、処罰が必要になります。今回のテロ事 件がたんに米国への攻撃にとどまらず、国際社会全体への攻撃であることを考慮して、国連のもとに特別国際法廷を設置することも、検討すべきです。」

 

 志位さんの現時点での記者会見を見ると、共産党は20年前、警察力と司法力で法の裁きを実現すると提唱したことになっているが、この3点を見れば分かるように、それは3つ目だけのことだ。その前に、国連による「制裁」の実現を求めている。それも、最初は経済制裁だが、それでは不十分なら憲章42条にもとづく「軍事制裁」も選択肢だと述べている。

 

 つまり、これだけの重大な国際テロに対して、法の裁きを求めつつ、それだけではだめで軍事的措置(あくまで国連を中心にしたものだが)の必要性を強調したことに、この書簡の意義はあるのだと思う。だから、この書簡のタイトルも、「一部の国による軍事攻撃と戦争拡大の道から、国連を中心にした制裁と“裁き”の道へのきりかえを提案する」(2001年10月11日)となっていたのだ。

 

 アメリカの報復戦層の失敗が明らかになった現在、ではどうするかが問われている。私自身は、この20年前の「制裁と裁き」路線を現在に甦らせる必要があると感じる。その内の「裁き」だけを甦らせるのでは、書簡の意義を語ったことにならないし、骨抜きにしかねないし、現在の重大なテロ問題を解決することにもならないのではないか。