昨夜、兵庫県の九条の会で講演してきた。「中国の台湾侵攻はあるか!?  その時、日本は!?」というテーマだ。

 

 このテーマで人前でおはなしするのは初めてで、かつ難しい問題であり、率直に言って話をしながら、また質問に答えながら、自分のいちばん言いたいことが明確になっていったと感じる。それが本日の記事のタイトルである。

 

 「赤旗」や平和運動団体の新聞、雑誌を見ると、アメリカが台湾問題で本格的な軍事作戦を準備していること、自衛隊がそれに協力する可能性があることを取り上げ、批判する論調がほとんどだ。それは否定するつもりはない。

 

 しかし、この問題は、中国が台湾の統一のために武力を使う可能性を放棄しないことから生じている問題である。そういう方針が掲げられ、かつ最近、中国軍の台湾問題を想定した軍事演習もあり、戦闘機を台湾の防空圏に進入させる頻度が強まり、かつてなく現実味が高まっている。

 

 だから何よりも大事なことは、中国に武力介入の方針を止めさせることなのである。武力介入の方針を捨てないことが、どれだけ台湾の人々の中国への嫌悪感を高め、独立志向を加速させているのかなど、誰よりも中国に向かって主張し、説得し、止めさせるべきなのである。

 

 この地域の平和と安全を願う政党、平和運動団体は、だから中国政府に対して、また中国の大使館、領事館などに出向いて批判的見解を伝えたり、あるいは独自に集会を開き、中国のそういう方針を撤回させるための世論を高めるべきなのである。

 

 そういう運動をやらないまま、悪いのは武力介入をねらうアメリカとそれに追随する日本だということだけを強調するのは、現実に合わない。中国が武力介入方針を撤回すれば、アメリカだって武力介入はできないのである。

 

 日本の平和運動、左翼運動は、同じ核実験をやっても、アメリカだったら集会を開いて抗議するが、初期はソ連や中国の核実験を批判せず、それを反省して態度を変えても、例えば北朝鮮の核実験に対して批判はしても、アメリカがやった際にするような集会や抗議運動まではやってこなかった。

 

 そういう「伝統」が米中の台湾をめぐる紛争にもあらわれているようで、すごく心配である。日本の左翼運動、平和運動は転機を迎えている。