佐藤さんが共産党を暴力革命政党としてみなしている理由は、昨日の「敵の出方」論にくわえて、共産党の組織原則にある。いわゆる民主集中制というヤツである。

 

 要するに、いま暴力革命の兆候が見えなくなっていても、「敵の出方」論が変わっていないのだから、いつそれが頭をもたげるかもしれない。そうなったとき、共産党の組織原則は民主集中制だから、下部の党員は上からの方針に反対の場合も無条件で従わざるを得ず(規約第五条の5、「(党員は)党の諸決定を自覚的に実行する。決定に同意できない場合は、自分の意見を保留することができる。その場合も、その決定を実行する」)、みんなが暴力革命を遂行することになるんだということだ(大ざっぱに要約すると)。それを印象づけるため、宮本顕治が1933年の論文で、「民主集中制の原則にもとづき、上級指導部の決定が下部組織によって無条件的に遂行されねばならぬ」と書いていることなどが引用される。

 

 これに対して、公安調査庁の横尾次長が、最近の党規約改正などの紹介を客観的にするのだが、佐藤さんは「本質はあまり変わっていないですね」と確認を求めようとする。横尾さんは「それについては様々な見方があると思います」と同調を避けている。ここは興味深いところだ。

 

 実際、万万万が一、ある日「暴力革命」の方針が打ちだされたら、どうなるだろうか。まずもって、何回も強調しているように、党員の足腰が立たないのがリアルな現実である。さらに、暴力革命というのは、党の綱領にもないものだから、大多数の党員は(暴力革命の決定に加わった党員を除きということだが)そんな決定は効力を持たないし綱領に反するとして、続々と離党するか、決定を行った機関を批判し、新しい機関をつくる努力が全国的に開始されるだろう。綱領に反する間違った決定は決定としての意味を持たない。そんなことが規約に書いているわけではないが、文章になっているかどうか以前の、当たり前の常識である。

 

 いや、綱領に書いていたって、間違ったものは正される。中国は社会主義をめざす国だという綱領規定がなくなったのがいい事例である。以前の規定のためにどんなに党員が苦労し、党への支持が弱まったかを思えば、遅すぎた是正ではあったけれど。しかし、それくらいの再生力は共産党には残っている。

 

 画像は、私がくり返し読んだ本。いまでも私の本棚にある。(続)