菅さんが表明した2030年の温室効果ガス削減目標の46%という数字について、どんな経過が出てきたのか、朝日新聞が報道していた(26日付有料会員記事)。見出しは「菅首相『ジョーと共に脱炭素』 46%はまぼろしなのか」。

 

 まあ、政権内部に環境省などの積極派と財界を抱える経産省などの消極派がいて、その争いの中で生み出されたという、誰もが予想できるような経緯を書いたものである。その際、菅さんが、アメリカとの協調を重視する立場で決断したことを、この見出しはあらわしている。「首脳同士の信頼関係」という、いつものアレだね。

 

 それでも、環境省や菅さんが本気がどうかは、別の問題だ。小泉さんが目標達成の手段を問われ、「おぼろげながら浮かんできた」と答えたことが、それを象徴している。

 

 ただ、建前であっても、目標が設定されたことは大事である。その目標達成に向けて、「こうしよう」という提起をすることに大義ができるからだ。

 

 話題は変わるが、先週の土曜日(22日)、「田村淳の訊きたい放題」に出演させてもらい、東京の空と日米地位協定についてお話ししてきた。そこで横田空域と羽田空港の話題になったので言わせてもらったのだが、飛行機って二酸化炭素を排出する根源のようなものだが、それを増幅しているのが横田空域である。これが存在するために、羽田に向かう航空機は大きく迂回しなければならないし、逆に飛び立つ飛行機は急上昇するのでエネルギーをたくさん使う。その結果、二酸化炭素の排出量は激増するのである。

 

 だから、菅さんが「ジョーと共に脱炭素」と言うなら、横田空域の返還をバイデンさんに求めるべきである。番組ではそのことも話したのだけれどね。

 

 技術的な面から見れば、日本がこの空域の管制をすることで、アメリカに迷惑をかけるようなことはない。それで二酸化炭素の排出量を減らせるなら、そんなにいいことはないではないか。

 

 日米共同で二酸化炭素の排出量削減、そのために横田空域の返還をって、日米関係の在り方からみて意味のあるプロジェクトで、その上、誰も困らない。というか、みんな得をするのだ。菅さん、本気だったら、真剣に考えてください。あの目標は建前というなら、あなたには期待しませんけれど。