本日、倉庫に納品されてきました。太田昌克さんの『核の大分岐—既存秩序の溶解か 新規秩序の形成か』です。6月始めに書店に並ぶ予定です。

 

 核問題の権威として名高い太田さんの本は、おそらくすべて読んでいると思います。いつも感想として思っていたのは、こんなに緻密に調べ上げ、論理的に問題を組み立てるって、頭の切れるすごい人だなあということでした。いつかこの人の本を出版したいと、ずっと望んでいました。

 

 その太田さんに初めてお会いしたのは、3年ほど前、「自衛隊を活かす会」で北朝鮮の核ミサイル問題をテーマにシンポジウムをやったときです。その日も、非常に論理的なお話をしていただき、予想通りの頭脳の持ち主だと感じました。

 

 しかし、質疑応答になって、それは一面的だったと思い知りました。被爆者の話になったとき、太田さんが突然声をつまらせ、涙ぐんでお話ししたのです。共同通信に入って広島支局に配属されて以来、ずっと被爆者の方々との交流を続けてきたのですね。そういう被爆者への思いがあるから、核問題でこれだけ緻密で論理的な仕事をしているのだと分かったのです。熱い心と冷たい頭脳ということですね。

 

 その太田さんの本をようやく出版することができて、編集者冥利に尽きます。昨年一年間を通じて共同通信が配信した大型企画をもとにしたもので、タイトルの通り、核戦力の増強か不拡散か禁止かという、「核の岐路に立つ世界」を活写したものです。

 

 帯で見えるように、核問題を語る上で欠かすことのできない人々に取材した内容がベースになっていますから、これは記者でしか書けない本です。是非、手にとってくださいね。

 

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