先日書いたように、今週の土曜日、「田村淳の訊きたい放題」に出演し、東京の空と地位協定についてお話ししなければならない。そこで、その準備のつもりで、出演日まで少しずつ書いておこうと思う。

 

 

 この画像が、最近、東京都心上空で米軍ヘリの低空飛行が問題になっている理由を説明してくれるものである。タイトルに「UH-1訓練空域」と書いているように、米軍の輸送用ヘリであるUH-1(地図の下部左に画像がある)の訓練空域である。

 

 その空域はどこにあるのかというと、ちょうど真ん中あたりに、コの字を逆にしたような破線(点線……)が見えるだろうか。これが、米軍ヘリUH-1の訓練空域である。逆コの字の上の部分を見ると、東は赤坂プレスセンター(麻布米軍ヘリ基地)あたりから横田基地まで伸びていて、横田から南に厚木基地へ向かい、そこから東南方向に横須賀基地にまで至っている。

 

 UH-1は輸送用ヘリだから、これまでもこれら米軍基地間を移動するために使われてきた。米本土から横田基地に降り立つ政府や軍の要人を都心の赤坂プレスセンターまで運んでくることもある。日米地位協定第五条で基地間の移動は認められているので、その目的ために使われるのなら、騒音被害は何とかしてほしいとは思うが、中止を求める根拠はない。

 

 しかし、ただの移動ではないということが、この地図で明らかになったわけである。米軍基地は日本にたくさんあるし、その間を米軍機は頻繁に移動しているが、移動のために空域を確保するようなことはどこでもされていない。

 

 これは日本のヘリコプターやセスナなど、いわゆる有視界飛行する航空機に共通している。とくにどのルートを飛ぶというのではなく(そうはいっても途中に障害物がない限り出発地と目的地の最短ルートを飛ぶのが普通だが)、視界の中に障害物(他の航空機や高い山など)があらわれたら、それを目視して回避するのである。

 

 それなのになぜ、首都圏にある米軍基地を結ぶそれなりに幅広い空域を、米軍は訓練空域としたのか。しかも、地図の下部右にあるように、地表(AGL-Above Ground Level)1000フィート(約300メートル)から1500フィート(約450メートル)を訓練空域としたのか。そこが解明されなければならないことである。

 

 なお、この地図、私がこのブログで「「赤旗」の大スクープ」と書いたが、それは間違いだった。すでに吉田敏浩さんが自著『横田空域』で紹介しているし(読んだ時には問題意識がなくて飛ばしていた)、そもそもは2013年、米軍横田基地が主催して開かれた会議で配られたものであり(秘密資料ではないということだ)、参加した自衛隊や東京都や福生市なども持っている。最近になって訓練が激しくなったので、改めて注目が集まっているというわけである。

 

 なお、法学館憲法研究所のウェブサイトの「今週の一言」欄に書かせてもらいました。「なぜ地位協定の『全条項分析』なのか」として、『〈全条項分析〉日米地位協定の真実』のエッセンスを紹介しております。(続)