昨日、自衛隊を活かす会で今後のことをみっちりと議論した。コロナの行方ともかかわるが、そのうち具体的なかたちにしていくので、乞うご期待。

 

 そこで議論になったことの一つは、やはり中国である。中国が既存の国際法秩序に挑戦していて、それが世界で軋轢を生み出している。それをどう考え、どう対処すべきか。

 

 領土問題一つとっても、これまでは「先占」の法理が決め手となってきた。あらっぽく言うと、先に発見して占有する(実効支配する)国の領土だというものが。その考え方で言うと、日本は尖閣で漁業を経営したり、そこに国が税金を課したりするなど、明確に占有した実績があり、中国にはそういうものがないので、日本の領土だと主張するわけである。

 

 ところが中国は、これもあらっぽく言うと、先に発見したのはオレだ、ちゃんと古文書に書いているということで、領有権を主張したりする。九段線なども同じである。

 

 だから、こちらは「国際法違反だろう」というのだが、この国際法の不変ではない。だって、先占の法理で植民地にされた人々がその後の戦いを進め、独立を勝ち取り、「人民の自決権」が領土を決める法理となっていく。それでも、植民地とは違って、尖閣のように本当に誰も住んでいなかったような場所の領有権を決める法理としては、まだ「先占」が通用しているのが現状だ。

 

 しかし、そういうことも含め、国際法って、「力」が決めるという実態もある。まず列強が力で「先占」を押し付け、植民地人民が力で「自決権」を回復したのと同様、中国が力で新しい国際法秩序をつくることだって、歴史を見ればあり得ることなのである。植民地人民の「力」を国際社会が容認したように、中国の「力」だって、支持されることがあるかもしれない。「現状を力で変更しない」という法理も永遠不変ではない。

 

 それに私の立場としては、過去の植民地支配が合法だったという現在の法理は、どこかで変更されないと考えている。現状の国際法の中には変わらなければならないものが存在するのも事実なのである。

 

 こころあたりをどう考え、どう整理するか。なかなか難しい探求の分野だよね。尖閣をめぐって武力紛争が起きるかどうかという現実問題と関わっているだけに、よく考えなければならない。