本を出したから言うのではないのですが、一年を通して話題になっていくと思います。というか、話題にしていかなければなりんません。理由は三つ。

 

 1つは、昨日、日米間で特別協定の一年延長が合意されたと報じられましたが、これは一件落着ということではなく、次の協定を結ぶための日米協議が一年間続くということだからです。

 

 昨年、トランプさんが途方もない要求を出してきたため、日米協議は進まなかったわけです。それでバイデンさんに替わっておとなしめの要求になったのだったら、なんとかまとまる可能性はあった。けれども、バイデンさんになってもアメリカの態度に変化がなかったから、これは一年かけて議論しなければということになったわけです。

 

 ということは、今年一年間、特別協定と地位協定の問題が、ずっと政治の話題になっていく。そこでは、おカネの負担のあり方だけではなく、というか負担のあり方を通じて、日本を守るとはどういうことなのかが問われることになるでしょう。

 

 2つは、今年が総選挙の年だということです。そして、地位協定改定というのは、野党がめずらしく一致しうる課題なので、改定を拒否する自民党、公明党との間で対決の焦点になりやすい。

 

 3つ目。来月、沖縄県知事が設置した万国津梁会議が、辺野古と地位協定に関する提言を出します。これは、アメリカ軍の戦略が、中国との間で脆弱性を抱える固定化した巨大な基地に依存するところから、小規模分散型へと移行するなかで、それなら辺野古は要りませんよね、小規模分散型への移行を(したがって本土の各地への演習などの移行を)支援すれば足りますよねという基本的な見解を打ち出すとされます。

 

 でもそうすると、米軍の演習がやってくる本土の各地はたまらない。だからこそ、それを地位協定改定とセットで実現することによって、本土の負担が増えないようにしましょうねということを、あわせて打ち出すことになるそうです。

 

 これって、本土というか、米軍基地や自衛隊基地を抱える自治体やそこでの平和運動にとっても大きな問題が提起されることになります。辺野古への移設はなくなるけれど、自分のところで演習が増えるかもしれない、地位協定改訂で負担は増大しないかもしれないが、そんなことを受け入れていいのかという問題提起です。

 

 だけど、それで辺野古への移設がなくなるなら、まなじりを決して受け入れるべきか。やはり野党共闘は反対して、与党が受け入れるのか。与野党とも受け入れず、沖縄は現状のままなのか。

 

 ということで、最初に述べたように地位協定イヤーです。是非、『〈全条項分析〉日米地位協定の真実』でも読んで、考えてみてください。