感染拡大という点でも、営業と暮らしの深刻化という点でも、待ったなしの現実に直面している。現在、政治が焦点とすべきは、年を越せるコロナ対策の打ち出しだと感じる。

 

 まず、営業と暮らしから。この日本では年を越せるかどうかが、単にその前後の時期の問題ではなく、来年に希望をつなげるかのカギとなってきた現実がある。

 

 何年か前、年越し派遣村が話題になったけれど、大晦日や年始を厳寒の公園などで過ごさざるを得ないことは、人から生きる意欲を奪い去るものだ。コロナ禍で仕事を奪われる人が急増している現在、この年末にかつてない事態に直面することを現実的な問題として想定し、いまから宿の手配なども含め総合的な対策を準備しておく必要があるように思う。

 

 とくに営業ということにしぼると、この年末、おカネを貸す銀行にとって、お金を借りている業者の営業が成り立つかどうかは、来年も引き続き貸し手になるかの判断基準になろう。年末になっても集客の見込みがつかず、家賃を滞納するような業者は、真っ先に切り捨てられる可能性がある。GO TO事業が中止になるのでは、余計にそういう判断になろう。例えば、コロナ禍が続く間ずっと国が家賃補助をするのは現実的でないにしても、年を越せること、つまり来年に意欲を持てる状態にすることを最低限の基準にして、集中的な補助を行うなどしの対策が求められているように感じる。

 

 コロナ対策という点で言うと、一方で医療機関や保健所の業務が増大し、看護師などの分野ですごい規模の求人がされているが、なかなか追いつかないほどの規模だ。それどころか、あまりの仕事の多さと責任感の重圧から、止めたい人も増えていると聞く。PCR検査が増えても、ここで対応できなければ、陽性患者が取り残される事態になり、元の木阿弥である。「これをやれば大丈夫」のような一点突破型ではない、総合的な対策が求められる。

 

 例えば、人が足りないと言っても、一方で仕事を失う人も何万人という規模でいるのだ。医療機関や保健所が求めているのは専門職であるにしても、その専門職を補佐するような仕事を増やすとか、現在は専門職がやっている業務でも短期間の研修で行えるような臨時の制度を設けるとか、知恵を働かせればできることがあるのではないか。失業者の増大も防げるとなれば、真剣に取り組むべきだろう。

 

 そうやって仕事での移動がなくなる年末年始を迎え、正月行事での濃厚接触を減らせる手立てが打てれば、来年はそれなりに希望をもって迎えられるような気がする。菅さん、少しは仕事をしてください。