学術会議のことが話題になるものだから、不断なら名前すら知らない人がメディアに登場するようになった。国民の支持を得て活動することは学術団体にも必要なことなので、歓迎すべき事だと思う。

 

 広渡信吾さんには、かつて私が共産党の政策委員会で仕事をしていた頃、東京大学にしか存在しない史料を見せていただくため、たいへんお世話になった。帝国議会の史料だったけれど、そのおかげで論文を一つ書くことができた。ありがとうございました。

 

 大西隆さんとは面識がないけれども、数年前、学術会議が軍事研究に対してどういう対応をするかが話題になったとき、会長としてよくメディアに登場したので、お名前を知ることになった。ご存じない方も多いだろうが、大西さんは、軍事研究反対に傾く学術会議内の議論に対して、会長として異論を挟んでいた。

 

 大西さんが学長を務める豊橋科学技術大学自体が、防衛省の研究助成を受けたプロジェクトを実施している。学術会議が声明を出したあと、なぜ異論を挟んでいたかについて、日経ビジネス誌上で以下のように述べておられる。

 

 「見解がまとまるまでは、(自衛目的に限定して、安全保障への学術界の協力を容認する意見を述べるなど)積極的に自分の意見を話そうと意識してきた。意図的に議論を起こしてきたとも言える。それに対して批判的な意見も、もちろん多かった。ただ、そうやって議論を起こして進めることが重要だと思っていた」

 「今は学術会議の見解がまとまったので、その見解を説明する役割を会長として担っている」

 

 私自身、軍事研究に反対という立場も理解できるが、自衛のための装備研究もできないのはどうかと悩んでいたから、大西さんに共感する面があった。しかし、学術会議の主流やメディアの一部は、大西さんを政府寄りと批判することも多かった。

 

 その大西さん、本日の「赤旗」にも登場し、菅政権の対応を批判している。大西さんのような人まで味方にできないところが、菅さんの最大の失敗である。政府が態度を変えない限り、政府寄りとみなされた人まで、みんな敵に回る可能性もある。学術会議問題は菅さんの命取りになる可能性があると行ってきたが、その方向を進んでいるよね。