長谷部恭男さんの『戦争と法』を読み終えた。憲法学者がなぜ「戦争」を主題にした本を書くのだろうと疑問に思う人がいるかもしれない。

 

 しかも、この本で取り上げている戦争というのは、「法」を論じるための材料や味付けとしてちょっと持ってきているという程度ではない。もちろん、本格的な戦争研究者などが見れば言わずもがなの話が多いのだろうけれど、長谷部さんが何年も誠実に戦争を研究してきたことは理解できる。

 

 2015年に成立した新安保法制の議論をするにあたって、戦争というものへの自分の理解が足りないことを、おそらくかなり痛切に感じられたのではないだろうか。民間の国民安保法制懇のメンバーとなり、防衛省のトップでやってきた柳澤協二さんや、日本人として唯一、統括したPKO部隊に民兵への殺害命令を出したこともある伊勢﨑賢治さんと議論したことも、きっと戦争研究への刺激になったことと思う。

 

 「戦争は悪いものだ」とか「戦争もまた必要だ」とか、単純な議論をしていてはいけないという反省が滲み出ていると感じる。とりわけ憲法学者が戦争に関して抽象的で一面的な認識で議論していると、憲法論としてまともなものにならないという思いが伝わってくる。

 

 ということで、わが自衛隊を活かす会は、11月27日(金)、長谷部さんをお招きして、この本の主題でお話を伺い、議論するためのイベントを開催する。低強度紛争と兵器研究(『戦争と法』にも兵器の話が一杯出てくる)の第一人者である加藤朗さんもいるので、意味のあるイベントになるだろう。

 

 いつもの衆議院第二議員会館でやろうとしたら、この日、80名以上の会議室は全部ふさがっているということで(国会はもう通常モードですね)、一か月前にならないと取れない参議院をあたっているので、告知はしばらくお待ちを。

 

 「戦争と自衛隊をわが事として捉えて考える」。みたいなテーマである。