先ほど、印刷直前に出てくる表紙等の色校正を確認し、さらに白焼きという名前の本文の最終物に最後の赤字を入れ、印刷所に戻すことができました。予定通り10月9日納品で、20過ぎに書店に並びます。ホッとする瞬間です。

 

 この作業は、いつもすぐに終わるんですね。いまやパソコンでつくって入れたデータが、そのまま白焼き、色校で出てくる時代ですから、入れたものが最終データの場合、そもそも直す必要がないのです。

 

 しかし、今回、その作業はそれなりに力のいるものになりました。なぜかと言えば、印刷所に入れたデータというのが、わずかな時間で必死に書き上げ、必死に組版し、必死に自分で構成したという状態のものだったからです。ちゃんとした専門の校正者の手を経なかったということです。

 

 そこで、困ったときの池田香代子さんということで、またまた頼んでしまいました。昨日、別の仕事で東京事務所に来ていただき、一時間半ほどのインタビューをこなしていただいた際、赤字を入れたものを持ってきてもらったのですが、それがこの写真です。

 

 

 もし、池田さんに校正していただかなかったら、どんな状態のものを読者にお届けしたのかと考えると、ちょっと恐ろしいくらいですね。池田さん、いつも本当にありがとうございます。

 

 間違った文字を直してもらうだけではないのですね。その言葉はどう使えば正しいのか、読者に著者の真意が伝わるのかという、まさに言葉の専門家だなあといつも感じることになります。

 

 さらに、校正しながら伺うお話は、思想を感じさせるのですね。「この到達で満足なのか」といつも問われているような気がして、向上心をかき立てられる瞬間でもあります。

 

 来春、集英社新書で出す日米地位協定論も、見ていただくことになりました。地位協定はときどき焦点となりますが、そういう関心をひきたてるところしか読まないので、一度全体を勉強してみたいということです。

 

 池田さんこそ、いつも向上しようとしているのですね。見習わなくてはと思います。

 

 でも、明日からは少し、グダッと過ごさせてもらいます。少しはいいでしょうか?