この間、地位協定論の執筆に専念してきて、ようやく人に見せられるまでになったので出版社に提示したら、来春、集英社新書で刊行されることになった。ありがたいことです。まだいくつか各省庁に問い合わせて確かめることや、図表の作成が残っているが、来春以降、沖縄から地位協定改定の動きが本格化するはずなので、それとタイアップして評判になるよう努力したい。

 

 それで余裕が出たのにあわせて、安部さんが退陣することになった。あるフリーの編集者から、安倍政権の総括的な本が必要ではないかというメールが来て、やり取りをしているうちに、「これは自分で書こう」と思い立った。ということで、このブログ記事のタイトルで執筆を開始している。サブタイトルは、「菅政権を「倒せる」条件」。

 

 

 安部さんの退陣に関して、反安倍勢力は、自分で追い詰めて倒したと錯覚しているようだ。だから、次の政権は安倍カラーから脱した政権ができるものと思い込み、菅さんの圧倒的優位という事態を信じることができない。朝日新聞の世論調査で安倍政権を評価した人が七割を超えるという結果にも目を疑っているようだ。

 

 しかし、反安倍勢力の目にはそう映っていても、その反安倍勢力自身が少数派なのだ。そのコップの中だけで物事を見ているので、そうなってしまう。事実は、どんなに追い込まれたように見えても、あるいは実際にそういう局面があっても、国政選挙をすれば安部さんが連戦連勝するという現実を変えることができなかった。7年8か月の間、一度も変えられなかった。

 

 だから、安倍政権は、病に倒れたという意味も含め「倒れた」とは言えるが、「倒した」とは言えない。そして、そういうことを許した原因を正確に捉えられないと、安倍政治は続いていくし、新しい政権をつくる条件も見えてこない。

 

 まあ、年内には書き上げようかなと思っていたら、ある九条の会から、「第三次安倍政権(=菅政権)下での反核平和運動のあり方」で講演してほしいと要請があった。それが11月15日(三宮の勤労福祉会館)ということなので、どうせならその日に販売できるようにしたいと、必死で書いている。月末に開かれる企画会議で通さないといけないのだけれどね。

 

 ということで、もう2万字ほどは書いているのだけれど、その「まえがき」を紹介しておく。本日は頭出しだけですけれど。

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 安倍晋三氏が首相の座から退陣することを表明した八月二八日(二〇二〇年)の翌朝、私はブログを更新し、「安倍さんの辞任は本当に残念」というタイトルで記事を書いた。そのタイトルだけを見ると、「こいつは安倍シンパか」と思われるかもしれないが、その逆である。安倍氏が第二次政権を担うようになってからの七年八か月、どうやったら野党が安倍政権を倒せる力をつけられるのか、ずっと悩みながら真剣に考えてきた。(続)