昨日話題にした枝野さんと泉さんの討論。経済政策も議論されたそうだ。朝日新聞によると、概略は次の通り。

 

■枝野氏「年収1千万未満には所得税減免も」 泉氏「コロナ収束まで消費税凍結」

 両氏は、新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ経済への対策として、減税策にも言及した。

 枝野氏は、消費減税のほかに、年収が1千万円程度に満たない人への所得税の免除、「ミニマムのベーシックインカムのスタート」としての低所得者への継続的な給付を掲げた。

 泉氏は、「コロナが収束するまで消費税は凍結すべきだ。インフレ率2%に至るまで、こういった施策を続ける必要もあるのではないか」と述べた。さらなる現金給付も含め、「大胆な経済政策を打っていかなければ難しい」との考えを示した。

 

 ということで、消費税減税は当然の前提の上で、さらなる減税策や給付策が打ち出されるようだ。国民民主党はもともと消費税減税を重視していたし、れいわはゼロで、共産党は半減で、野党はどこかでまとまるんだろうけれど、こうやって財源面での根拠も示さずに華々しく描くやり方って、どうなんだろうか。

 

 というか、この間、アベノミクスで金融緩和が進み、さらにコロナが重なって、赤字国債を出し続けることにほとんどの人が違和感を持たないようになっている。このやり方は、結局最後は、二つの方向で決着が付けられるしかない。

 

 一つは、現在の経済社会の原理を前提にしたままのやり方。いずれ国債を償還するときになって、国債を大量に保有している企業には何の痛みもなく、ツケは年金水準の切り下げや社会保障の劣化などとして庶民に覆い被さってくる。

 

 もう一つは、資本主義の原理を改革していくやり方だ。国民すべてに対して基本的な生活を保障するとか、1日8時間働いたらそれなりに余裕のある暮らしができるとか、そんな当たり前の社会が、この資本主義のもとでできるのかと問いかけられているのが、現在の日本と世界の現状ではないのか。それだったら、短期的に国債に頼るのは仕方がないとして、その最終的な財源は、ぼろもうけしている資本・富裕層への課税強化に求め、資本主義のあり方を変えていくことに踏み込むことが求められよう。

 

 そうでないと、菅さんは消費税減税を拒否しているので、この問題が次の総選挙では争点になるのだろうけれど、財源を示さない無責任野党という批判が押し寄せてくる。立憲民主党になるにせよ、民主党になるにせよ、問われるのは減税と給付のメニューの数や中身ではなく、資本主義への認識である。

 

 新党の綱領では「支え合う共生社会」がうたわれているが、問われているのは、そんな社会と資本主義の原理が相容れるのかという認識である。立憲民主党も新自由主義批判はしているが、資本主義そのものの分析はないようだ。そこに踏み込まない限り、「結局はばらまきだね」となって支持を広げることは難しかろう。