ほぼ書き上げました。人に見せられる段階になったので、各方面に送ってご意見をいただきます。

 

 あとは、地位協定の解釈と運用に関していくつかの省庁(外務、防衛、経産、総務)に問い合わせすることとか、図表十数点を作成することとか、文章の仕上げをすることとか。そんな感じでしょうか。

 

 タイトルは、現在のところ、『〈逐条分析〉日米地位協定のウラ・オモテ』にするつもりです。ここ数年、地位協定をめぐって好著が相次いで出ていますが、「逐条」的なものはないので、そこはウリにするのです。同時に、それだと「解説本」で平板だと思われがちなので、ウラもオモテもある地位協定ということを打ち出して、少しドラマティックなところがあると感じてもらうという手法です。どうでしょうか。

 

 問題は、実際に手に取ってみて、ちょっと引いてしまうことがないようにしなければということなんです。だって、この本では、地位協定も行政協定も全文を資料として載せるんですよ。それも、各条ごとにまずそれを置き、日本政府が行政協定をどう変えようとしていたかの資料も置き、続いて解説を始めるという形式です。それで、合計で12万字を超えるんですが、4万字は資料なんです。その資料部分の膨大さと読みにくさを前にして、読者が引くんではないかと感じた次第。資料全文を読者に読んでもらう必要はないのですが、本文でふれるような箇所は、意欲があれば目にしてもらいたい。

 

 そこで、この画像のように組もうと思っています。こうすると、資料はあるけれど、本文にもすぐにたどり着けることが分かるし、地位協定と行政協定の比較もできるし、政府が変えようとしたところが変わったかどうかも分かるし、本文で引用したところは傍線が引いてあるので目に付きやすい、ということで。

 

 

 まあ、そうはいっても、18条の民事請求権なんか、資料ページのほうが本文よりかなり長いのです。経済関係の条項は、日米お互いの利害がからんでくることなので、細かいところまでいろいろと規定しているのですね。

 

 地位協定のすべての条文を行政協定と比較しながら読み、その意味を考えたのは、これが初めてでした。当たり前と思い込んでいたことが、実は複雑だったということもありました。この作業をやってよかったと、つくづく感じます。まあ、仕上げには、もっと時間をかけますけれど。