週末は東京に出ていて、この本の最後の作業をしていた。柳澤協二×前川喜平の対談で、サブタイトルは「「事務次官の乱」の行方」。私がかかわるすべての作業が終了し、印刷・製本工程に入った。7日に見本が納品され、書店にならぶのは25日頃だと思われる。

 

 これまで『官僚の矜持』というタイトルだとこのブログで書いてきたが、前川さんのご要望があって変更した。事務次官を退職した直後、文藝春秋で前川さんのそういうタイトルの手記が発表され、その年の読者対象を受賞されたそうなのだが、実際はゴーストライターの手によるもので、タイトルも扇情的な内容も、意に沿わなかったのだけど出版社に押し切られたそうである。そんな経緯があるのに、私まで押し切るようなことがあると、良くないからね。

 

 「「事務次官の乱」の行方」のほうにも異論が出た。事務次官の在職中に「乱」を起こしたわけではないし、かつ「乱」を起こしているのは安倍さんだという見地からのもの。それももっともなんだけれど、「事務次官の乱」というネーミングは私が考えたものではなく、ある省の事務次官経験者にこの種の本の執筆を依頼したところ、「私は事務次官の乱には加わらない」とおっしゃっていたことからとったものだ。そのとき初めて、柳澤さんや前川さんの主張と行動が、官僚の世界で、とりわけ高級官僚の世界で、そういうネーミングで呼ばれていることを知った。という事情もあるので、こちらのほうが押し切らせてもらったわけである。

 

 心配なのは、「乱」の相手の安倍さんだ。どうも元気がないように見える。先日、ある国会議員の秘書を話していたら、そういえば第一次政権を放り出したときも、いまのように一か月間ほど姿を見せなかったとか。出版社の私的な事情で申し訳ないのだが、ここで安倍さんに辞められると本の売れ行きに関わるので、怒られるかもしれないけれどがんばってほしい。

 

 安倍さんに辞めてもらうのは、やはり総選挙で安倍自民党を少数に追い込んで、「これが民意だ」と誰もが納得するときであってほしい。この本は、それに少し貢献してくれるかも。