東京高検検事長の黒川さんの賭け麻雀の件が暴露されている。正義のリークだと喜ぶ人もいれば、これをリークしたのが産経関係者ということで、何か政治的意図がるのではと疑っている人もいるみたいだ。

 

 まあでも、私の狭い範囲の付き合いでいうと、産経新聞には真面目な記者も少なくない。読売新聞ほどには統制がとれていないのか、自由に書ける雰囲気もあると思う。

 

 一つだけ紹介すると、私はよく、産経新聞のデジタル版に書かせてもらう。その中には1万字近いものもあって、最近で言えば、私のコミュニストとしての生き様を書いた「『貧困と格差に知らぬ顔、もう一度「富裕層への革命』を起こせ」もあれば、何と百田尚樹さんの『日本国記』を批判した「百田尚樹『日本国紀』を読んで「がっかりした」理由」もある。以前、北朝鮮の核ミサイル問題で「北朝鮮有事の「最悪シナリオ」に日本が取るべき選択肢は一つしかない」を書いたら、それが産経新聞の本紙に要約して転載されたこともあった。

 

 バリバリ左翼とまでは言えず、ヘタレ左翼程度ではあるが、そんな私に発表の場を与え、原稿料まで支払ってくれるのだから、なかなか政治的ポジションにこだわったメディアではできることではない。とても感謝している。

 

 最初に依頼があったのは、もう4年前のことだろうか。電話があって、間違いじゃないかと思って、「私の政治的な立場はご存じですよね」と聞いたら、「もちろん」と間髪をおかずに返事があり、さらに「産経新聞デジタルはリベラルですから」とおっしゃった。

 

 びっくりしたけれど、でもリベラルって、そういうことだと思うんだよね。リベラルと言いながら、別の立場は載せなかったり無視したりするような場合もあるから、そういうところと比べると、産経のほうがよほどリベラルだ。

 

 以前、ジュンク堂の難波店で立岩陽一郎さんと対談したとき、そのことを紹介したら、びっくりされた。でも、そこでも言ったけれど、私は毎朝、朝日と赤旗を読んだあとは、まっさきに産経に目を通す。世の中の人びとがどういう論調にどういう影響を受けているかを知るだけでも価値がある。よく読んで真意をつかむこと抜きに、批判もできないし。

 

 ということで、黒川さんの問題、産経新聞はどう出てくるのだろうか。よおく見ておかないとね。