先日のイベントの冒頭、大意、以下のような説明をしました。——

 

 本日ご参加されるような方なら、国際人道法違反を日本の法体系では裁けないという問題を何とかしようと、伊勢崎賢治さんが訴え続けてきたことはご存じだと思います。もう何年も前からです。

 

 それに対して共感の声も広がりましたが、実際に法整備をしようという動きにはならなかった。それで、昨年10月18日に「自衛隊を活かす会」が日本における軍事法廷のあり方をめぐってシンポジウムをした際、伊勢崎さんがキレる場面がありました。

 

 このままではマズいなと感じたわたしは、伊勢崎さんに提案したんです。どんなに外野で吠えていても法律が自然とできていくことはない、それなら自分で法律をつくろうと、と。

 

 どうすればできるのかと聞かれ、「それは法制局に依頼するしかないでしょ」。どうしたら法制局に依頼できるのかと聞かれ、「国会議員に頼るしかないでしょ」と。

 

 どの国会議員に頼むかは明確でした。だって、今から2年ほど前ですが、憲法改正をめぐってさまざまな立場をとる人びとで集まって、日比谷図書文化館大ホールでイベントをやったのですが、そこで護憲的改憲論の伊勢崎さん、改憲的護憲論のわたしに加え、立憲的改憲論の山尾志桜里さんが参加してくださっていて、人道法問題での伊勢崎さんの訴えに賛同してくださっていたからです。

 

 そこで山尾さんをお訪ねしたら、即断してくださいました。月に2回ほど、衆議院法制局の方に来ていただいて

議論を重ねることになります。

 

 ただ、伊勢崎さんもわたしも法律には疎いですから、自分たちだけでは議論に付いていけない。そこで、山尾さんのご紹介で、議員立法に詳しい弁護士として、水上貴央さん、倉持麟太郎さんにも加わっていただきました。

 

 その経過の中で、いろんな方のご意見を伺いました。先ほどの紹介した日比谷のイベントには、本日も参加してくださっている弁護士の伊藤真さんもいたのですが、伊藤さんは、自衛隊は違憲だという明確な立場に立ちつつ、この立法は必要だと明言されていたので、助言を伺いに行きました。

 

 また、法律が必要だということを証明するには、必要性を立証するような事実を明らかにする必要があります。主には自衛隊が活動する現場でそういう現実があるということです。そこで、本日の参加者でもある元防衛官僚の柳澤協二さん、元陸将の渡邊隆さん、元空将補の林吉永さんにもご相談を続けてきました。

 

 こうやって出来上がったのが、本日お配りしている法案の概要です。まだ固まったものではなく、最終的にどんなものとして仕上げるかは、国会議員のみなさま、市民のみなさまのご意見を伺いながら進めていきたいと思います。本日の議論が実りあるものになることを願っています。