国際刑事裁判所が対象とするのは、これまで言及したジェノサイド、侵略、人道に対する罪だけではない。いわゆる戦争犯罪、戦時国際法に違反する罪、交戦法規違反も含まれる。捕虜の虐待とか、軍事目標でないもの(民間人)への攻撃などである。

 

 これは日本では自衛隊が対象となる。この分野も日本の法整備は遅れているというか、自衛隊は戦争しないという建前にしばられて、現実から遊離してしまっている。新安保法制が国会で議論されたとき、岸田外相(当時)が、自衛官が敵に捕まっても捕虜になれないと答弁したのが象徴的であった。尖閣諸島をめぐって自衛隊が警察活動で(防衛出動でなく)出動して捕まっても、戦争じゃないから捕虜としての待遇を受けないということになってしまう。まじめにものごとを考えている自衛官は、こうした問題を憂慮しているので、何とか解決しないといけない。

 

 それだけではない。完全な法の空白となっているのが、自衛官の海外における過失である。チラシにもあるけれど、車両を運転していて現地の人を轢き殺すことがあったとして、地位協定では現地の裁判権が放棄されている上に、日本の法律では国外犯規定が適用されないため、誰からも裁かれないのである。

 

 この問題、すでに国会で山尾志桜里さんが質問し、河野防衛大臣も法整備に前向きな姿勢をしめした。2月19日の衆議院予算委員会である。

 

 「山尾 相手国ジプチの裁判権をいわば奪いながら、過失の行為については日本には関係法令がないので、これは日本でも処罰できませんという状況になっているので、これを速やかに、私はやはり改善するべきだというふうに思うんですね」

 「河野 そろそろ防衛省・自衛隊として、この問題、しっかりと検討していく必要はあるだろうと私は思っておりまして、検討のための準備を始めて行きたいというふうに思っております」

 

 ということで、国際人道法違反を日本の法体系に組み入れる仕事、急速に開始されていく可能性がある。「国際刑事法典の制定を国会に求める会」の活動にご注目ください。4月3日もご参加ください。