そろそろこの連載も終わろうと思っていたら、トランプさんがとんでもないことを言いだして、終われない。いつものことだけれど。

 

 現在、トンランプさんがイラン司令官を殺害したことで、それが国際法上政党正当化できるかどうか、いろいろと議論になっている。アメリカの中でも議論になっていて、政権側の国際法学者とかは、必死に正当化理由を探しているわけだ。

 

 トランプさん自身、バクダッドを含む4か所のアメリカ大使館への攻撃計画があったとして、殺害を正当化する理由を提示してきた。それに対して、エスパー国防長官が「そんな証拠は見ていない」と発言して、信ぴょう性がなくなったんだけどね。

 

 そんなことに嫌気がさしたのだろう。トランプさん、こう言ったそうだ。

 

 「トランプ氏はツイッターで、メディアや民主党が、司令官を殺害しなければならない緊急性があったか否か、政権内で見解が一致していたかどうかを懸命に議論しているとしたうえで、「答えは両方イエスだが、彼の忌まわしい過去を考えれば、そんなことはどうでもいい」と主張した」(朝日新聞電子版)

 

 国際法上正当化できるかどうかは「どうでもいい」そうだ。疲れちゃうよな、一生懸命議論しているのに。

 

 ある国の軍の幹部が他の国の市民の殺害を繰り返しているとして、その幹部を殺害できるか。戦時であれば、それは正当化できるだろう。戦時国際法上、誰もそれは疑わない。

 

 だけど、アメリカとイランは戦争状態にはない。トランプさん自身、「戦争するつもりはない」と言っているのだから、その状態では戦時国際法は通用していない。あくまで平時の法である。

 

 そうであるならば、殺害を繰り返している人物がとして、その人物を裁けるのは法廷だけである。まあ、イランが自国の法廷で裁くことはあり得ないから、アメリカが、証拠を提示して自国の法廷に訴追するか、国際刑事裁判所に訴追するか、どちらかしかない。

 

 それしかやりようがないのに、無法に他国を代表する人物を殺害するというなら、戦争する覚悟が必要なのだ。それなのに、選挙での再選をねらって、「戦争するつもりはない」と言うのだから、もうハチャメチャである。

 

 こんな問題での国際法上の議論は続けられないから、次回で終わってしまおう。(続)