一昨日に開いた自衛隊を活かす会の講演会は、主催者の一員ながら、深く考えさせられることがあった。開催して良かったと心から思う。

 

 「戦争はなぜ起きるか、どうすればいいのか」をテーマにして、インドやパキスタンの研究者をお招きしたわけだが、何よりもまず、この地域の紛争がこれほど激化していることを知らなかった。チコちゃんに「ボーッと生きてんじゃねえよ!」と言われそうな気がしたくらい。

 

 安倍首相も、昨年12月、インド訪問を取りやめたほどだ。今年、予定通り中東は訪問したわけだから、湾岸地域と比べてもインドが危険だという判断を政府がするほどの事態になっているのだ。カシミールでの紛争が全土化するような状況になっているのだが、政治やメディアが騒ぐ湾岸にしか目がいかないことを反省した。

 

 さらにもう一つ。南アジアの研究者が関心を寄せていることが、日本の我々にとっても他人事ではないという実感が持てたことが良かった。

 

 この地域では、高学歴の若者がテロに惹かれていくことが大問題になっている。政治に対する不満があって、若者が過激化し、それがテロにまでつながっていく過程というのが、とっても普遍的に感じる。

 

 過激化するのはいいのだ。わたしだってそういう若者だった。

 

 ところがそこで、その若者に「そんなこと考えるな」と言ってみたり、押さえつけたりすると、不満は解決されない。そして、ネットを検索したりして、不満解消の思想としてのテロリズムを見つけたりする。

 

 日本でオウム真理教が理工学部出身者を惹きつけたのも、通常の学科の勉強では、社会や政治への不満を解決できないからというのもある。そしてテロの技術だけは持っている。

 

 いや、現在の日本では、事態は別の方向で深刻なのかもしれない。不満があっても、「そんなこと考えても仕方ないよ」とか、「自分の責任だろ」とか、そんな言説があふれかえり、それを組織化する道が見えなくて、社会を変革するという意欲がしぼんでしまいかねない状態である。

 

 若者の過激化を促進し、ともに社会を変える道を進もうといういことを、もっと若者に可視化できるように伝えるにはどうしたらいいか。もっと考えなければならないと感じた次第である。

 

 自衛隊を活かす会の次のイベントは、3月7日(土)の午後、兵庫県神戸市です。現地の九条の会との共催企画。詳細はしばらくお待ちください。