こんなことをしていたら、文在寅政権は、朴槿恵政権と同じ末路を辿ることになる。GSOMIA問題の結末は、2015年の慰安婦問題政府合意と同じではないか。

 

 4年前、日韓両国政府が慰安婦合意を結んだのは、オバマ大統領の強い圧力があったからだ。日本政府も韓国政府も譲歩した。私もそれに期待した。元慰安婦の7割が日本の税金でつくられた韓国財団のおカネを受け取った。

 

 ところが、その合意は崩壊した。慰安婦の多くが受け取ったのだから、大勢はそれを支持していたのに、一部の先鋭的な世論が国民の世論とみなされた。

 

 文在寅は、その合意を批判することで国民の支持を集め、大統領になった。合意に至るプロセスが慰安婦にも国民にも知らされず、関与もできなかったと批判した。そして財団はすでに解散している。

 

 じゃあ、今回のGSOMIA維持の決定は、それとどう違うのか。ついその日の朝方まで破棄すると言っていたのが、突然くつがえった。国民の51%が破棄を支持するという世論調査結果が公表された直後だった。その間、文在寅大統領は国民と相談したのか。していないだろう。

 

 それで政権がもつならいいだろう。けれど、国民は騙されたと同じだ。朴槿恵とも違って、みずから市民の代表を自認してきただけに、打撃の大きさは比べものにならないだろう。

 

 日米韓の軍事一体化を推進してきた古い勢力がほくそ笑んでいる様が見えるようだ。文在寅の政治姿勢を転換させることができるかもしれないし、そうでなくても国民の支持を失って瓦解する可能性を手に入れたからだ。

 

 文在寅がこれを立て直すのは、容易なことではない。さあ、どうするのか。