本日深夜、GSOMIAが失効します。ということで、本日の朝7時過ぎから、またもや「おはようパーソナリティ 道上洋三です」に電話で出演し、15分ほど見解を述べさせて頂きました。産経新聞デジタルiRONNAからも寄稿の依頼があり、「日米韓関係の本質的な問題こそ議論されるべきだ」と題して寄稿しました。私に言わせれば、私程度の人間にそれほどの出演依頼があるということ自体、騒がれ方が正常ではないように思います。タイトルにあるように、もっと本質的な問題を議論せよということです。産経への寄稿(タイトルは「「GSOMIA狂騒曲」日韓が口をつぐむアメリカの本音」と変わっています)を4回にわけて連載します。

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 11月23日に期限を迎える日韓軍事情報包括保護協定(以下、GSOMIA)の失効か延長かをめぐって、メディアの事前報道は過熱した。率直なところを言わせてもらえば、なぜそれほど大騒ぎをするのか、まったく理解できないほどの過熱ぶりであった。それだけのエネルギーがあるのなら、もっと大事なことを論じてほしかったというのが、私の率直な思いである。

 

 北朝鮮が度重なるミサイル実験を通じてミサイル技術を向上させているのは事実である。日本と韓国が直接に関連情報をやり取りできるGSOMIAは、存在しないよりも存在するほうが、軍事的な側面ではミサイルに関する情報を素早く、正確に共有できることも確かであろう。だからこれが維持されることに意味がないとまでは言わない。

 

 さらに言えば、ただただ非難の応酬になっている現在の日韓関係を見れば、何か一つでも両国が合意に達することがあると、少しはホッと出来るという要素があるかもしれない。その合意には長期的に見て問題があるとしても、一息ついている間に、本筋の徴用工問題などで対話をする雰囲気が醸成されることを期待する向きもあろう。

 

 しかし、軍事的な正解が必ずしも政治的にも正解だとは限らない。また、GSOMIAがこれほど問題になる背景にあるのは、そもそも日米韓関係の実体が政治面で歪んでいることにある。その実体面での関係を正常化させる努力はしないまま、GSOMIAだけを何とかしようとしても、手術が求められる患部を放置したまま湿布で痛みを緩和して済ませるようなものであり、患者の容態は深刻化するだけある。議論が過熱する背景にある日米韓関係の歪みこそ正されるべきではないか。(続)