明日の午後3時、ジュンク堂書店難波店で『日韓が和解する日』の刊行記念イベントがあり、李信恵さん(在日2.5世)と対談します。お近くの方は是非、ご参加ください。愛知からやって来る人もいますが。

 

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 さて、北朝鮮人権法案の審査は国会サイドで開始されたのだが、私はその数年前まで国会議員団事務局で仕事していてつながりもあるので、いろいろ中身が漏れ伝わってくる。それによると、予想通りというか、法案には「反対」ということで起案されそうということだった。

 

 もちろん、前回に書いたように、反対で起案されてきても、政策委員会として「賛成」の意見をつければいいことなのだが、ほとんどの政党・会派が賛成する法案なので、審議時間がほとんどないまますぐに採択に付されることも予想された。そこで、小池さんに対して、「政策委員会の意見を伝えるため、私が国会の議論に加わるのはどうか」と提案した。

 

 それに対して小池さんは、「いやいや、ちゃんと「賛成」で起案されてくるから、心配しなくていい」と言われる。本当にそうなるのかは心配だが、小池さんがそういうなら仕方がない。政策委員会に回ってきたとき、すぐ意見が付けられるよう、準備だけはしておいた。

 

 ところが、である。いつも回ってくるはずの起案が、今回は回ってこなかったのだ。

 

 というか、いつもとまったく違う決定方式がとられた。国会から直接に常任幹部会の会議にかけられることになったのである。

 

 それが分かった時、小池さんには、やり方がおかしいんじゃないかと意見を伝えた。それに対しても、小池さんは、「いやいや、ちゃんと「賛成」で起案されてくるから、心配しなくていい」と、同じことを言われる。しかし、国会からの情報はまったく違うもので、私は不信感をもったまま当日を迎えることになる。

 

 常任幹部会の当日。会議が終わって、小池さんが政策委員会の部屋に降りてこられた。開口一番、「いやあ、びっくり。「反対」で起案されてきたんですよ」。

 

 起案内容は常任幹部会のメンバーには事前に(通常は数日前)に配られるので、会議の場ではじめて知るなんてあり得ない。まあ、それでも、緊急上程のようなことはあるかもしれない。

 

 私は、小池さんはどういう態度をとったのかを伺う。「国会からの提案に賛成しました。反対するほどのものではないと判断しました」。それがお答えだった。

 

 私が小池さんにいだいた複雑な感情はご理解頂けると思う。今でも尊敬しているし、この連載でも紹介したように、北朝鮮の人権問題が重大であることは当時から分かっておられて、初出席の常任幹部会で奮闘されたときの姿が、本当の小池さんだと理解しているので。

 

 それにしても、いくら通常の方式をとって、政策委員会を経由し、私が起案に反対したところで、私はただの勤務員にすぎないのだから、結果を変えるような力はない。それなのに、なぜ、私を騙すようなやり方を選択したのだろうか。(続)