日本共産党の綱領改定案が発表された。新聞1ページ分の案と5ページ分の説明があり、普通の仕事をしている人には、読み通すことからしてそう簡単ではない。

 

 だが、その核心を一言で言えば、「中国は社会主義をめざす国」という現在の規定を削除するということにある。それを説得づけるために、いまや人権問題は国際問題だ(だから中国の人権問題にも外からものを言うのだ)という規定を新たに入れるとか(何十年も前から当然のことだったが)、関連して言い方を変えるとかしているのであって、中国論の変更がなければ、その他の変更もなかったという性格のものである。

 

 このブログを見ている方はご存じのように、私は中国の政治外交を強く批判してきたし、この転換は当然のことだと感じる。あまりに遅すぎたことは傷を大きくしたけれども。

 

 問題は、この転換をどう意味のあるものにできるかだ。ちゃんと深く議論しないと、傷口が広がりかねない。

 

 天安門事件とその後のしばらくは問題がなかったのだ。中国を評価できる国だと感じていた共産党員はいなかった。

 

 しかし、その後しばらくして、日本共産党の中国評価が激変し、多くの共産党員が、中国のことを資本主義よりすすんだ社会だという規定に囚われ、まわりにもそう言ってきた。私に対して「内政干渉している」と批判してくる人もいた。まあ、中には困り果てて、「社会主義をめざしているということは、社会主義ではないということだから」として、「これまで日本共産党は中国を社会主義だとみなしたことは一度もありません」と、共産党名で発行するニュースなどで堂々と活字にする人もいたにはいたけれども。

 

 共産党のことだから、中央が変わると末端まで変わるという、これまでのやり方でやっていくと、結局、納得できないものを残してしまうのではないか。この際、納得できないことは納得しないという見地で議論をしないと、足が動かなくなる人が出てくるような気がする。

 

 しかも、今回の転換の理由を見ると、中国の覇権主義や人権抑圧をもって見解を変えていて(それは構わないのだが)、中国の経済体制をどう見るのかはまったく視野に入っていない。ある国が資本主義か社会主義かを判断する境目は経済体制にあるので(一般人は独裁国家か自由国家かで社会主義と資本主義を区別するので、そういう捉え方は共産党の理論に特殊なものだが)、それ抜きで評価を変えるとなると、これも納得できない人が出てくるだろう。

 

 ということで、弊社が主催して12月21日に実施するシンポジウム「中国は社会主義か!?」の出番である。それら広範な問題が議論されることになるだろう。画像は参加者に送られる事前パンフの表紙。なんとA4判で28ページもの論文がぎゅうぎゅう詰めにされている。乞うご期待。