北朝鮮がまたもや弾道ミサイルの発射実験をして大きな問題となっている。久しぶりに日本の排他的経済水域に落下したこともあるし、何と言っても潜水艦発射型だということで、どこから撃ってこられるか分からないため不安を増幅させているわけだ。

 

 国連決議に違反して弾道ミサイルを発射しているわけだし、問題にするのは当然である。ただ、ネットの個人発信ならともかく、ちゃんとしたメディアによる事実に反する報道は、北朝鮮を批判したいという「善意」から出ているとしても、国民を惑わすだけなので止めてほしいなと思う。

 

 たとえば産経新聞。私が見たのはネット版だが、見出しで「米本土奇襲も可能なSLBM」とあった。何を言っているのだろうと本文を見てみると、「トランプ米大統領が容認してきた短距離ミサイルの試射とは次元が異なる。SLBMの実戦配備に至れば、潜水艦で米本土に近づいての奇襲攻撃も可能になるからだ」とあった。

 

 おいおい。北朝鮮の潜水艦が太平洋を越えて米本土近くまで行くんだって。黙っていたらトランプさんがまたもや黙認することを怖れたからだろうけど、あまりにもヒドいでしょ。

 

 だって、通常の潜水艦って、沿海というか近海の作戦に使うものだ。遠くまで行こうとすると、酸素や燃料を補給するためたびたび海上に出ないとだめで、あんなに広い太平洋で浮上しても、酸素はともかくどうやって燃料を手に入れるのか。補給艦でもいっしょに行くとしたら、それはもう産経新聞の言う「奇襲作戦」ではなくなってしまう。

 

 そういう決定的な弱点から逃れられないから、アメリカは必死になって原子力潜水艦をつくったのである。原潜では電力を豊富につくりだすことができるので、艦内に必要とされる酸素まで海水を電気分解してるくることができるという。遠くまで行って「奇襲作戦」ができるのは原潜だけなのだ。

 

 北朝鮮の核・ミサイル開発を止めさせるって、産経新聞も含め左右を問わず日本国民の大方が一致できる課題なので、ちゃんとしてほしいんだよね。よろしく。

 

 写真はドイツのUボート。