自民党幹事長だった古賀誠さんの『憲法九条は世界遺産』ですが、すでにアマゾンで予約もできます。次の会社のメルマガに寄稿したものを紹介しておきますね。

 

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 いまから12年前、自民党幹事長だった加藤紘一さん(故人)に、弊社の本の帯で推薦文を書いていただいたことがありました(『我、自衛隊を愛す 故に、憲法九条を守る』)。けれども、自民党幹事長経験者が弊社から本を出す時代が来るとは、1年前まではまったく想像もできませんでした。

 

 残念なことですが、安倍首相は国政選挙で連戦連勝です。経団連と懇談して労働者の賃上げを求めたり、「反省」や「お詫び」を入れた戦後70年談話をつくったりと、政権の維持へ従来の保守層を超えてウィングを中間派へと広げているように見えます。

 

 これにどう対抗していくのかは、出版社にとっても重大な挑戦課題。この間、いろいろな努力を積み重ねてきました。その結実がこの本です。

 

 安倍首相は、ウィングを広げていると言っても、本性はやはり「戦後政治の総決算」路線にあります。戦後の自民党政治の良質な部分を否定するのが特徴で、それが自民党内にも亀裂を生んでいるのです。しかし、よく言われるように小選挙区制の導入で首相官邸の権力が強まり、現状をよしとしない保守派も声を出しにくいのが現状です。

 

 このままでは、安倍首相が改憲国民投票に挑んでこようとしているのに、護憲の声が保守派から出てこない状況が生まれます。護憲というのは革新的な人だけが唱えるものだという世の中の雰囲気ができてしまったら、保守派は護憲を選びにくくなります。

 

 古賀誠さんの『憲法九条は世界遺産』は、そういう状況を転換することを目指して誕生した本です。「保守も護憲だ」と堂々と言える世の中をつくるのがこの本の目的です。

 

 沖縄では、普天間基地の辺野古移転反対勢力が、連戦連勝中です。安倍首相もここでは勝てない。それはなぜかといえば、沖縄では保守と革新が共闘しているからです。保守も革新も手を携えて新基地の建設に反対しようという社会の雰囲気があるから、安倍首相が攻勢をつよめても世論が揺らぐことがないのです。

 

 それを憲法問題でもつくるための本なのです。是非、読者として目を通すだけでなく、安倍首相に対して保守も革新も立ち向かっているという社会状況をつくるために、この本を活用してほしいのです。

 

 古賀さんといえば強面のイメージがあって、「本当に護憲派?」と思う人もいるでしょう。けれども、最初の立候補の時から護憲を訴えていたのです。自分の母親をはじめ戦争未亡人を再び生み出さないというのが、古賀さんの原点です。PKO法をはじめ、自衛隊を海外に出す法律が出たら、すべて処分覚悟で反対してきました。いまでも自民党を愛する保守派ですし、安倍首相のことも尊敬するところがあると言います。しかし、9条の改正だけは絶対に許さないというのが、古賀さんの変わらぬ信念です。

 

 保守派との連携が護憲のカギを握ります。是非、多くの読者の方に、この本を広めてほしいと願っています。