昨日の続きだけど、パリ・コミューンって、よく知られていることだが、マルクスの同志は執行部に入っていなかった。普通選挙で選ばれたので、労働者が中心だったことは間違いないが、イデオロギーとしてマルクスと同じ「共産主義」を掲げる人はいなかった。当時、フランスはプロイセンと戦争していたわけだが、そのプロイセンと通じるような人さえいた。

 

 そういう政府を、マルクスは「労働者階級の政府」と位置づけ、社会主義でもそんな国家形態にすることを夢みたのである。これは大事だよね。

 

 つまり、マルクスが目指したのは、一党独裁でも何でもないということだ。あまりにも当然のことだけれど、選挙でいろいろな党派が支持を競い合うことを想定したということである。

 

 かつてのソ連、現在の中国は、だから社会主義でも何でもない。いまの世の中では、「独裁であるところだけが社会主義らしいところ」というのが一般的な評価になっているだけに、コミュニストならばそこを大声で叫ばなければならない。

 

 関連する話題。日本の共産党が来年一月に党大会を開くことを決めた。その議題として綱領の一部改定があるそうだ。具体的には、「綱領第三章──世界情勢論を中心に行い、それとの関係で第五章──未来社会論の一部改定を行う」とされている。

 

 綱領第三章で改定するとすれば、とりわけ未来社会論(社会主義論)との関係まであるとすれば、それは当然、中国をどう見るかということになるだろう。中国のことを「社会主義をめざす新しい探究が開始され」(第三章)ている国としたり、「資本主義から離脱した国ぐにでの社会主義への独自の道を探究する努力」(第五章)と、資本主義より高い段階にあるかのように位置づけている規定である。

 

 改定は当然のことだ。このブログでも紹介したように、12月21日には、「中国は社会主義か」をテーマにした大シンポジウムを開催するので、おおいに議論したい。

 

 ただ、綱領の改定がそこに止まるということは、野党の政権協議の障害になっている「自衛隊論」は変えないということだね。政権参加より独自性の確保ということだろうか。日米安保廃棄だけで十分に独自だと思うけれどね。