いま、どこへ行っても、話題になるのは日韓関係である。昨日、散髪屋さんに行ったら、「なんとかならんのですか。文在寅政権が倒れるまでは無理ですか」と嘆かれた。また昨日の「支援ネット」の会合では、重鎮の方が「もう、ここまで来たら、あいまいに決着させることなく、徹底的に最後までやった方がいい」とおっしゃっていた。

 

 文在寅打倒論はかなり浸透しているようだ。だけど、その程度のことでは何も変わらないから、これだけ危機的な事態になっていることを知る必要がある。

 

 たしかに現在、保守派は文在寅大統領を批判しているが、植民地期の問題を究明する「親日清算法」(日帝独占下親日反民族行為真相究明特別法、2004年)、植民地期と戦後期も含むすべての事案を包括する「過去史法」(真実・和解のための過去史整理基本法、05年)は、盧武鉉政権で与野党一致してできた法律である。とくに後者は、朴正熙なども対象となるため朴槿恵を党首に抱いていた野党が反発するのだが、それでも最後は与野党が一致して成立することになる。朴槿恵政権下でも廃止されるようなことはなかった。そういう意味で、過去の責任追及というのは、程度の差はあれ、韓国国民の一致した考え方になっていると言える。

 

 その朴正熙が合意した日韓条約、請求権協定が問題になっているのだ。政権が変わっても、韓国大法院の判決が変わるはずもない。保守政権といえども、国民の追及からは逃れられない。

 

 だから、やはり、ここは徹底的に議論するしかない。もともと日本の植民地支配が当時から違法だったのか、あるいは当時は合法だったのかを脇において条約と協定がつくられたのだ。それが現在の紛争の原因なのだ。だったら、そこが解決するまで政府間で議論するしかないではないか。

 

 通常の植民地支配の場合、植民地の人々が独立戦争を起こし、何年も血で血を洗う武装闘争がくり広げられ、両方に何万、何十万と死者が出る。そして、植民地の人々は深刻な犠牲を被るのだが、しかし宗主国を追いだすことによって勝利感を得るのだ。韓国にはそれがない。

 

 それと同じ体験をしない限り、この問題は終わらない。だけど、昔なら戦争をするしか方法はなかったわけだが、いま誰もそれをしようとは思っていないし、条約の解釈が違ったら外交協議で解決するというのが、ふつうのルールだし、日韓条約もそう定めている。

 

 戦争しないで解決できる手段があるのだから、何年かかってもやるしかない。お互い覚悟を決めてやるしかない。いま、東京に向かう新幹線の中。