参議院選挙一人区の候補者調整が大詰めだと報じられている。近く、何らかの発表があるのだろう。

 

 意味のあることだと思う。とりわけ、安倍首相を嫌う人々にとっては、選択肢に迷うことがなくなる。がんばってほしい。

 

 問題は、野党共闘が明るい日本の未来を見せることができるのかだ。安倍批判はお手の物だろうけれど。

 

 現在の野党共闘というのは、めざすべき日本の将来像が違う政党の集まりである(将来像というほどのものがない政党もあるけれど)。批判には強いが未来は見せられないというのは、そこから来る本質的な問題点である。

 

 例えば、どんな税金で日本の将来の財政をまかなうのかという、根本のところで異なる。消費税でやっていくという政党と、廃止するという政党の集合体である。だから、野党共闘で一致できるのは、現在の景気のもとでの10%への引き上げには反対だということだけである。安倍さんの引き上げを批判し、現在のままということになるわけだ。

 

 あるいは、憲法九条や安全保障にかんする考え方も180度違う。九条に自衛権を明示すべきという政党と、どんな改正も絶対にダメだという政党が、安倍改憲阻止で一致している。これも現状維持だ。日米安保や自衛隊についても、「このように運用して日本の平和をたしかなものにしていく」というクリエイティブなものは打ち出せないだろう。

 

 新安保法制が強行されたその時点では、それを廃止するというだけで、国民の中でかなりの期待が生まれる根拠があった。だけど、それから数年、未来の日本の姿を見せられないでは、国民の大きな支持は得られないのが現状である。

 

 その結果、当面の野党共闘では安倍政権の暴走を終わらせ、現状を守るだけで終わることになる。未来を見せるのは、野党共闘が終わって、それぞれの政党が独自の日本の姿を提示する場合ということになるわけだ。それが当面の野党共闘の迫力を削ぐ結果になっている。

 

 本当なら野党が政策協議を重ねて、クリエイティブな政策で一致できるまでに成長すればいいのだけれど、現状は、日常的にそういうことがされていない。選挙が近づいて慌てて候補者だけを一本化する作業になってしまう。そういう現状から抜け出して、「野党共闘でこんな日本がつくれるのだ」と言える日がいつか来るだろうか。