昨日出来上がってきたもう1つの本がこれ。いかがでしょう。

 

 

 秀吉の妻、ねねのお寺として知られる高台寺をご存じでしょうか。八坂神社のすぐ近くにあります。

 

 そこから、アンドロイドのロボットが般若心経を語る取組をするので、それとタイアップして一般向けに般若心経を解説する本をつくらないかと相談を受けたのは、昨年の終わり頃。率直に言って、かなり躊躇しました。

 

 だって、般若心経の本って、仏教のことを少しは理解している出版社とか、そうでなくても少しは理解のある編集者がいる出版社とか、そういうところしか出せないでしょう。だから当初、仏教と社会の関わりとか、そんな角度からなら独自のものが出せるかもしれないとお返事したのだけれど、いやいや病や死を怖れる人に般若心経の神髄を語って、心を穏やかにするような本だと言われ、ますます自分にできるのかと混迷。

 

 ただ、その般若心経の中身の解説は、アンドロイドが語るシナリオがあって、造詣の深い3人の住職さんが総がかりでつくったものだということです。それを、仏教のことは知らない素人の出版社に依頼するわけは、素人に伝わるものにしてほしいからだということでした。

 

 まあ、もともと、夏目漱石とかのアンドロイドロボットを手がけている大阪大学の石黒研究室が関与しているということで、強い関心はありました。それならトライしてみるかと、住職さんらと長い会議を持って、理解を深めていったわけです。

 

 「これはできる」と思ったのは、なぜロボットが般若心経を語るのか、どこに意味があるのかが分かった時です。ロボットだから、ちゃんと入力してあげれば、仏教の経典だってすべて暗記し、状況にあわせて語ることはできるでしょう。しかし、それって、ロボットでないとできないかと言うと、そうではないと思います。それならなぜロボットか。

 

 実は、住職さんたちもそこに悩みながら、シナリオを作られたわけです。(今のところ)人間のような心を持たないロボットに人の悩みを理解し、それを解決する言葉を語ることができるのか、ロボットだけが人間に伝えられるメッセージは何なのかを悩みながらね。すごく納得しました。

 

 そして、それを伝えようと思ったら、マンガの形式が一番だと感じました。高台寺でも、実際、アンドロイド観音が人前に立ち、プロジェクションマッピングの手法で語りかけ、対話方式で話が進んでいくわけですが、それがマンガで再現できます。しかも、すぐに理解できないところは、マンガの場合、立ち止まって考えることもできます。

 

 今月末には書店で入手できます。高台寺の実物の法話も5月6日までやっていますので、京都在住の方、旅行で来られる方は、是非、足を伸ばしてください。